町工場が1社依存を卒業するとリスクを上回るメリットが待ってる理由

創業してずっと育ててもらったメーカーと取引してきたが、時代が変わり、1社依存の状態が経営リスクが高いと感じている、このまま取引して良いのかと不安な町工場の方は、依存から卒業し、外にある大きなメリットを知るべきです。

多くの町工場は特定のメーカーからの取引に依存しており、依存先のメーカーの業績が傾くと、それと連動する、言わば親会社の経営や風邪を引くと、繋がっている町工場も同じように風邪を引くことになります。

町工場の1社依存状態は「生かさず殺さずの状態」「おかしいと思っても声を大にできない」などメーカーから仕事をもらっているが故に無理難題でも従わざるを得ない状態であり、ビジネスとしておかしな状況です。

1社依存から抜け出したいけど、主要取引先からの売上が減るデメリットしかないじゃないかと考える方は間違っています。

多くの町工場は1つのメーカー、1つの業界しか知らない井の中の蛙の状態なので、1社依存から抜け出した外の世界を知ることができないのですが、実は町工場にとって依存から抜け出した外の業界にはたくさんのメリットが待っています。

この記事では町工場が1社依存から卒業して、外の業界に飛び出すと、リスクを上回るメリットが待ってる理由を解説します。

目次

主要取引先に依存する経営のデメリット

1社依存状態の状態で経営をする町工場は自社の命綱をメーカーに握られたまま言いなりの経営をせざるを得ないリスクを抱えている事を自覚してください。

メーカーさんが面倒見てくれるから他の仕事はしないでも、大丈夫と考えている方は大きな間違いを犯しています。

町工場と共に大きくなろう、絶対にサプライヤーさんを守ろうという気持ちは昭和の時代であり、現代のメーカーは「安ければ中国でいい」「昔からの付き合いは関係ない」の考えなので、あなたの会社のことを守ってくれませんよ。

ここでは町工場が主要取引先1社に依存する経営のデメリットを解説します。

経営が主要取引先に握られる

1社依存の最大のデメリットは町工場の経営が主要取引先の動向に左右されるため、町工場を経営しているはずが、方針を決めるのは全てメーカーの一言になってしまう点です。

「3ヶ月後からこの仕事は社内で内製化します」「〇〇%のコストダウンをお願いします、できなければ転注となります」「中国での生産に移管します」なんて言葉を突然、メーカーから言い渡され、いきなり仕事がなくなる恐怖はありませんか?

これが1社依存の町工場に待ち受ける最大の恐怖で、通常は複数メーカーと取引をしていれば、片方の仕事が減っても、もう片方の顧客の仕事を増やせば、売上が激減することはありません。

しかし、1社依存だと他の売上先となる企業がないため、依存先のメーカーの動向や突然の変化に従わざるを得なくなります。

「コストダウンをしなければ、売上が吹き飛ぶ」と考えたらただでさえ少ない利益を削ってでもコストダウンをせざるを得ませんが、町工場も利益がなければ、機械を導入するのはもちろん人を雇うこともできません。

しかし、依存先のメーカーに言うことを聞かないと、仕事が減らされてしまうのでコストダウンをせざるをせません。

このように1社依存状態では経営方針が主要取引先の動向に従わざるを得ないので、自社で考える経営方針があっても、メーカーの一言で簡単に吹き飛んでしまうのです。

町工場はどれだけ小さくても、独立した企業であり、経営者は従業員の雇用を守る必要がありますが、1社依存状態では、社内の経営方針をメーカーに握られるような構図になるのがデメリットになります。

生かさず殺さずの関係に

どの町工場も思っているかもしれませんが、1社依存状態の経営はメーカー側が町工場を「生かさず殺さず」の状態で管理されているような状態です。

令和の時代になっても、メーカーは以下のような取引を町工場に求めています。

  • 支払いは手形でサイトは120日
  • 半年先の見積提出を求められる
  • 材料費、電気代が上がっても一向に値上げしてくれない
  • コストダウン協力金を求められる

下請法が存在するにも関わらず、誰もが名を知る大手メーカーでも支払いは現金でなく、手形でサイトが120日、材料費が変動する可能性があるのに半年先の見積を求めるなど町工場にとって厳しい取引条件は往々にして存在します。

本来の取引の形としてメーカーとサプライヤーである町工場は対等なはずですが、1社依存状態の町工場はどうしてもメーカーよりも弱い立場になり、不利な条件であっても言いたいことが言えずにいる状態になるのです。

まさに町工場が生かさず殺さずの状態でメーカーに振り回される状態です。

どうしても「仕事をもらっているから」「この場でNOを突き出したら、来月の仕事が減るかもしれない」と一瞬でも感じて、言いたいことが言えなかった経験がある町工場は依存から卒業を考えるサインです。

技術力と利益を無駄にする

1社依存の状態は本来は他の業界のメーカーが喉から手が出るほど欲している技術力が日の目を浴びず、町工場として成長するチャンスを無駄することにも繋がります。

町工場は1社依存状態だと、自社の物差しが取引先のメーカーや業界の中だけに絞られてしまうので、他の業界やメーカーから自社の技術がどう思われるかという観点が持つことができません。

日々、疑問を持たずに見積をしている価格が実は他の業界では2倍、3倍の価格でメーカーに購入されている、自社が既存取引先に提供している技術は他の業界では極めて高く評価されるなんてことはザラにあります。

しかし、1社依存状態だとその外の世界からの評価を知ることができないのです。

極めて高い技術であり、本来はもっと高い金額を請求しても良いのに、既存取引先では価格を買い叩かれているなんてことは実は非常に多いのです。

町工場が1社に依存しておらず、異業界のメーカーと話ができれば、他のメーカーからの需要やニーズを知れるので既存取引先に買い叩かれていることに気づけるのですが、1社依存で他のメーカーと話したことがないと買い叩かれていることに気づかないのです。

1社依存から卒業するべき大きなメリット

1社依存状態からの卒業は町工場にとって大きな成長のチャンスが隠れており、卒業することができれば、町工場は売上の不安が減り、依存先に左右されないより自由な経営が実現できます。

もしも、町工場が1社依存から抜け出すことができると、次のような未来が待っています。

  • 毎月の売上に不安を感じなくなる
  • 自社の方針にそぐわないことにNoと言える
  • 利益確保した仕事を獲得できる
  • 獲得した利益で設備や人に投資できる

町工場にとって、1社依存の体質は経営としたあまりにもリスクの高い状態であり、正直にいうと間違った経営方針で今すぐに脱却すべきです。

ここでは町工場が1社依存から卒業する大きなメリットを解説します。

既存業界ではあり得ない高利益の取引

異業界の取引先を見つけられれば、1社依存先のメーカーでは考えられないような高利益が実現できるチャンスがあります。

町工場は大きな誤解をしており、業界が変わっても見積価格は大して上げられないと考えている方があまりにも多いのですが、それは大きな間違いであることに気づいてください。

あなたの会社が既存の依存先のメーカーに出している製品見積は他の業界に持っていくだけで、2倍にも3倍にも化けるチャンスがあるのです。

多くの町工場は既存取引先との取引で何とか利益を出そうと苦労しているかと思いますが、結局は薄利での取引になるかと思いますが、異業界に行けば、やってることを変えずにただ作る製品の業界を変えるだけで簡単に高利益は実現できるのです。

業界ごとにそれぞれサプライヤーに求めている価値は異なりますので、既存業界の取引先での当たり前は他の業界のメーカーでは当たり前でなく、大変価値のあることで喉から手が出るほど欲しいという構図になるのです。

上記のようになるのは「日本に1つしかない技術を持っている町工場だ」「うちみたいな普通の町工場じゃ無理だ」と否定される方も一部いらっしゃいますが、それは異業界のメーカーの購買部に話をしておらず、井の中の蛙だからです。

世の中のメーカーがどれだけ町工場の廃業に悩んで、新しい町工場の開拓に苦労しているかを知ると、「なぜもっと早く1社依存から卒業しなかったのか」と後悔するはずです。

以下の記事では大阪で起きている町工場の大廃業を受けて、大阪の町工場がどれだけ新規開拓がしやすいかをまとめた記事ですが、メーカーの購買部の状態がよくわかる記事なので合わせてチェックしてみてください。

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支払いも現金取引に

町工場の資金繰りの観点で最も助かる翌月末現金支払いでの取引を行うことが可能です。

既存の依存先のメーカーが未だに支払いが手形かつサイトが長い場合はおかしい取引形態であることを認識してください。

主要顧客に依存していると、外の企業がどのような支払いをしているかなんて知らないはずですが、大手メーカーが未だに手形で支払いをしているのはおかしな話であり、かつ手形の支払いサイトが60日以上の場合は、下請法違反です。

引用:MoneyFoward支払サイトとは?長いと良いの?意味や計算方法、決め方を解説の記事から引用

板金加工ならまだしも、機械加工や金型など材料費の比率が大きい町工場で納品してから4ヶ月も材料費を持ち出さなければならないのは資金繰りを圧迫します。

1社依存していると、支払いサイトが長いのが当たり前と感じてしまうかもしれませんが、未だに支払いで手形で行うメーカーは少なく、大半のメーカーはサプライヤーである町工場の資金繰りを鑑みて、翌末現金になっています。

1社依存から卒業することができると、既存取引先で苦労している材料費や人件費の持ち出し、長い支払いサイトに苦しむこともなくなるので資金繰りで頭を抱えることも減ります。

新たな加工領域に取り組める

町工場が持つ技術力は異業界に広げることで、更に異なる技術への進化や新しい製品への取り組みで社内の技術提供の幅が広がり、これまで考えもしなかった領域の仕事をすることも可能です。

1社依存をしていると、基本的に1年を通して、ほぼ同じものを制作するはずで、たまに新しい製品が出るかもしれませんが、年に数回程度でのおまけレベルです。

同じ製品しか作らないと現場では新しい気づきや技術的な探究が起きず、現場の技術レベルはいつまで経っても変わりません。

しかし、異業界との付き合いが始まると、今までやったことのない業界で、新しい領域の仕事が来ることが前提なので自ずと現場は知恵を絞って加工に取り組むため、現場の技術レベルが底上げになります。

また、自社で当たり前のように加工している技術が、異業界のメーカーでは大変貴重な加工技術になり得ることもあり、本来考えていなかった領域での仕事獲得に繋がり、既存ではあり得なかった好条件で取引をすることも可能です。

同じことをやり続ける限り、現場も技術も新しい発見はできませんが、今までと違うことを行うだけで、町工場には様々な刺激が加わり、化学変化を遂げる材料になり得るのです。

異業界を開拓する簡単な方法

既存業界からの卒業をしたい、興味があると思っても、どうやって異業界のメーカーを新規開拓すればいいのかと悩む方に1番簡単な新規開拓の方法を解説します。

前提として1社依存からの卒業は、現在依存しているメーカーの仕事をしながら、異業界のメーカーへの提案を続け、十分に異業界での仕事が増えて、売上に余裕が出てから行うべきです。

異業界と取引ができていないのに1社依存しているメーカーの仕事を断っては売上がなくなってしまいます。

依存先のメーカーの仕事は通常通りこなしつつ、時間を見つけて、異形界にタネを巻くことが鉄則です。

オープン調達

町工場が異業界を開拓するには既にサプライヤーを探しているメーカーがネット上で大々的に募集をかけるオープン調達を活用するのが1番簡単です。

営業経験もない、営業担当もないない町工場が新規開拓でいきなり異業界を開拓するのは難易度が高すぎます。

新規開拓をするためには以下の情報を獲得する必要があります。

  1. メーカーが必要としている技術もしくは製品
  2. 購買担当の直通番号と名前

これらを聞き出すにはテレアポをして提案をする必要がありますが99%の町工場がそもそもテレアポで新規開拓をしたことがないので何を話すべきかわからないはずです。

しかし、オープン調達では本来町工場が自分でうまく話して聞き出す必要がある情報が、ネットで調べるだけで簡単に手に入るのです。

以下はオープン調達を実施しているニデックマシナリー株式会社がHPで掲載している情報です。

引用:ニデックマシナリー株式会社資材調達ページより

町工場の方が喉から手が出るほど欲しいであろうメーカーが必要としている加工製品や加工技術が全て掲載されているのです。

本来は電話で聞き出さないといけないのにネットで調べるだけで苦労なしで必要な情報をに手にできるのです。

引用:三菱化工機アドバンス株式会社協力会社募集ページより

上記は三菱化工機アドバンス株式会社のオープン調達ページですが、町工場がテレアポをするときに必要な資材部部の問い合わせ先がご丁寧に電話番号から部署名まで全て記載されているのです。

本来は何度も電話をして苦労して手に入れる情報が簡単に手に入るのがオープン調達であり、異業界を開拓する際に1番最初に使うべき新規開拓の方法です。

オープン調達を活用した具体的な新規開拓の方法を知りたい方は以下の記事でオープン調達を活用した新規開拓方法を解説していますので合わせてご覧ください。

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外部のプロに丸投げ

町工場が最も早く1社依存から脱したいなら、経験がなく苦手な営業活動に自社で取り組むのでなく、外部の金属加工業のプロに丸投げで任せるべきです。

そもそも町工場には営業担当がいない、過去にも営業をしたことがないというのが普通であり、今までは仕事があったから営業をしなくてよかったために、営業担当も不要で、仕事を待っていればよかったのです。

しかし、令和の時代になり、日本が不景気になり、仕事が減った今では町工場は自分で営業をして、仕事を取る必要があります。

でも、今まで営業をしたことがない、営業担当がいない町工場は営業がしたくても右も左も分からない状態で、そんな状態で新規開拓をしても、成果が出るまでにかなりの時間がかかり、成果を悠長に待っている時間は町工場にはないはずです。

町工場は自分たちが営業が苦手であることを認め、外部に営業のプロに任せるべきです。

町工場にはノウハウが1つもなく、自社が携わっていない業界にはどんな仕事があり、どんな悩みがあるのかさえわからないはずですが、金属加工業の営業のプロは新規開拓に必要な知識の全てを有しています。

手前味噌ではありますが、弊社では以下のような町工場様をご支援し、異業界の顧客を見つけ、1社依存状態から抜け出す支援の実績がございます。

営業経験がない町工場は苦手な営業活動に取り組んで時間を浪費することだけはしてはいけません。

自分たちは得意なモノづくりに専念して、苦手な新規開拓は外部のプロに丸投げするのが1社依存状態を抜け出す町工場に共有する考え方です。

新規開拓を外部に依頼したいと思ってもどこに依頼すればいいか、どんな点を比較すればいいか分からない町工場の方へ以下の記事で町工場が営業代行選びで損しない選び方を解説していますのでぜひご覧ください。

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【まとめ】1社依存は経営の黄色信号であり、直ちに卒業せよ

この記事では町工場が勇気を出して、1社依存から卒業するとリスクを上回るメリットが待ってる理由に関して解説してきました。

1社依存状態は極めて不安定な経営状態であり、メーカーから生かさず、殺さずの状態で常にいいように使われてしまうような状況です。

常に1社からの注文量に会社の売上が左右されてしまうので、経営者や後継の方は売上が急に減るたびに寝れない不安な夜を過ごすことになります。

しかし、1社依存状態から抜け出すと、町工場の経営はガラッと変わり、1社の売上が落ちても、他の業界でカバーする、不利な条件であれば「No」と言えるような環境ができ、経営者も後継の方にも安心が生まれるのです。

1社依存状態に危機感を感じている町工場の方は今すぐに行動を起こしてください。

とはいえ、今まで営業活動をしたことがない町工場の方が異業界を開拓するのはとても難しいはずです。

そこで弊社は日本で唯一、金属加工業の新規開拓を丸投げで支援する営業支援サービス「AnySales」を提供し、日本全国の町工場の新規顧客開拓を支援しております。

町工場の方で「1社依存状態から抜け出したいけど、営業経験もなく営業担当もいない」「既存顧客の対応が忙しく、営業活動をする時間を捻出できない」という方はぜひ資料請求にてサービス内容をご確認ください。

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