製造業でこれから新規開拓する企業が事前に理解すべきポイントとは?

新規開拓をしたいけど、なかなか行動に移せていないという企業が多いのではないでしょうか。

主要顧客からの売上の低迷や新たな市場開拓を目的として新規開拓を考える企業は多くありますが、実際に行動に移して、新規開拓に成功している企業は一握りです。

その理由は新規開拓に関するノウハウが社内に存在しないことに加え、情報を調べる術がないことにあります。

製造業において、新規開拓を専門で行う営業担当は少なく、大半が既存の付き合いの企業との取引を担当するルート営業であるため、新規開拓の経験が社内に存在しないのです。

また、製造業に特化した新規開拓の情報はWeb上でもなかなか掲載されていないので、知りたくても調べる方法がないのです。

そこでこの記事では製造業の新規開拓を支援するサービスを運営し、数多くの製造業の新規顧客開拓の実績を持つAnytiveが、これから新規開拓を始める企業が事前に理解すべきポイントを解説します。

目次

製造業の新規開拓は難易度が低い

製造業において、新規開拓と聞くと「難易度が高い」と感じる人が多いかもしれませんが、実際はそこまで難しいものではないことを理解してください。

その理由は製造業において大企業を中心にサプライチェーンを支えてきた中小企業に高齢化の影響が出始めている点と新規開拓をする企業が極端に少ないブルーオーシャンであることが起因します。

正しい方法でお客様に提案を続けることで、営業担当がいなくても、経験が少なくても1ヶ月で新規顧客の開拓が可能です。

ここではなぜ、製造業の新規開拓が難しくないのかを解説していきます。

既存サプライヤーの廃業が進んでいる

コロナウィルスの影響や少子高齢化、後継者不足などの影響でメーカーでは既存サプライヤーの倒産や廃業に頭を抱えているのです。

大小問わずどのサプライチェーンにも10名以下の企業(父ちゃん母ちゃんの会社)が存在し、昔からの長い付き合いで廉価なコストで部材提供を受けています。

しかし、このサプライチェーンを支えてきた10名以下の企業が業績悪化や高齢化で仕事を続けるのが難しい、後継者がいないという理由で廃業する企業が増加しているのです。

既存サプライヤーが廃業するということは、購買部は依頼していた部材を製造してくれる新しい会社を見つける必要があります。

購買部はコストダウンや納期短縮の他に高齢化などの問題を抱える企業の廃業リスクを補ってくれる会社を見つけることも優先度の高い改題となっており、今まで以上に購買部は新規サプライヤーを求めています。

既存業務が忙しい中で、新しいサプライヤーを見つけるのは労力がかかる仕事なので、どの企業も満足な新規サプライヤー開拓ができていないので、サプライヤーからの新規営業は嬉しい提案となります。

これまでは、新規提案を門前払いで一切、受け付けていなかった大手企業であっても、サプライヤーの高齢化やリスクを担保するためにウェブ上で新規提案を受け付ける企業も増えています。

新規開拓をしている競合が少ない

製造業において、メーカーに対して新規開拓を行なっている企業は少なく、提案を受ける購買部にとっては新規開拓提案をしてくれる企業は珍しく目立つ存在になるため、価格競争などの比較を受けることがないのです。

情報システム部や経営企画部にはほぼ毎日と言っていいほど、何かしらのITツールの会社より電話営業が入っているため、担当者は提案に飽き飽きしています。

しかし、製造業においては新規開拓を行う企業が少ないので、提案先である購買部に新規提案の連絡が入ることは極端に少ないです。

そのため、購買部はサプライヤーからの新規提案を受けるのは新鮮な提案であり、部署の課題であるコストや納期に関して改善提案をしてくれる会社の連絡を断ることは少なく、話を聞く場を設けてもらえます。

購買部は常に少しでも安く仕入れられるサプライヤーを探していますが、実際はサプライヤー側からの提案が少ないので、日常業務が忙しい中、展示会などで探している企業が多いです。

競合が全くいない中で新規開拓を行えば、間違いなく目立つことが可能であり、購買部からも珍しい会社として受け取ってもらうことができます。

新規開拓におすすめの3つの方法

ここまで、製造業における新規開拓の難易度が少ないということを解説してきましたが、具体的にどのような新規開拓方法があるのか気になるのではないでしょうか。

少し前まではアポも取らずにいきなり訪問をする「飛び込み営業」が主流でしたが、あまりにも非効率かつお客様に良い印象を与えないのでおすすめはできません。

現在はITツールを活用した新規開拓方法なども存在し、より効率的に新規営業をすることが可能になっており、ある特別な方法を活用すると、電話1本で購買部への提案の機会を獲得することが可能です。

ここでは製造業の新規開拓におすすめな3つの方法を紹介します。

テレアポ

新規開拓の手法として、どの企業でも活用されている一般的な方法が「テレアポ」です。

テレアポは文字通り、HPなどに掲載されている電話番号に電話をして、購買部や設計部に直接提案する手法で、電話さえあれば、どの企業も実践することができる新規開拓の方法です。

電話1つで実践できる方法ですが、テレアポでアポイントの獲得には、顧客業界に関する基礎知識や業務経験がないと思うように自分の提案を電話先の相手に伝えることができずに、断られることが続きます。

テレアポの成功率は以下の通りになっています。

  • 初心者:0.5%
  • 中級者:2%
  • 上級者:5%

経験豊かな上級者であれば、20件に1件の成功率になりますが、製造業において豊富なテレアポ経験がある人材は少ないので、アポイント獲得には一定の時間が必要です。

テレアポは誰でもできる新規開拓の手法ではありますが、基本的に断られることが多いので、お客様から断られても気にせず、根気よく電話をし続ける努力が必要になる方法になります。

お問い合わせフォーム営業

企業HPに設置された問い合わせフォームに新規提案メールを送付するのが「お問い合わせフォーム営業」です。

仕事をしていると時々、自社のHP宛に営業メールが届くことがあると思いますが、まさにあの提案メールが問い合わせフォーム営業になります。

会社に電話をするのではなく、メールの本文に提案内容を記載して送付するため、事前の提案文の作り込みさえすれば、営業経験や業務経験がない方でも誰でも実施できる方法になります。

電話と違い、お客様から直接断られることもないので心理的負担が少なく、PCさえあれば実施できるのでテレアポをする人材がいない場合に利用される方法です。

ただし、問い合わせフォーム営業はテレアポとは違い、ターゲットとする購買部や設計部に直接的に提案をするのではなく、会社全体の問い合わせフォームに送信するため、提案した良い部署に届いているか、反応の有無を確認できません。

そのため、問い合わせフォーム営業だけでアポイントを取ることが難しく、フォームへの提案分の送信後に電話をして、確認の有無や興味関心をお伺いする必要があるのです。

また、問い合わせフォーム営業や1社ごとにそれぞれ問い合わせフォームに必要情報を入力もしくはコピペが必要なので、テレアポと比較して、手間のかかる方法になります。

サプライヤー募集掲載企業への営業

新規開拓に最も効果的ですが、あまり知られていない方法が「サプライヤー企業募集」を掲載している企業への問い合わせ営業です。

PCの検索画面に「サプライヤー募集」と検索すると、現在、サプライヤーを募集している企業が募集製品と連絡先まで記載された状態で検索ができること知る企業は意外にも少ないのです。

この方法はあまり知られておりませんが、最も新規開拓の成功率が高い方法です。

通常はサプライヤーを募集しているかどうか分からない企業に電話やメールをしてアポイントを取るのに対して、サプライヤー募集企業への営業は「サプライヤーを募集している企業と欲しい商品」を理解した上で連絡することが可能です。

以下の画像のようにサプライヤー募集をしている企業は詳細まで仕入れたい部材を明記してくれています。

サプライヤー募集のスクリーンショット

テレアポの場合は知らない企業からの電話なので、メーカー側は少し冷たい対応をされることが多いですが、「サプライヤ募集ページを見ました」の一言でとても丁寧に購買担当まで電話を繋いでもらえます。

テレアポや問い合わせフォーム営業をする前に是非、「サプライヤー募集」と検索をして、自社の商材もしくは加工技術が提案できる会社を調べてみてはいかがでしょうか。

新規開拓前に準備すべき3つの要素

3つの新規開拓方法を解説してきましたが、事前準備なしに新規開拓を始めてはいけません。

何の準備もなしに始めると、非効率な新規開拓に繋がることに加え、せっかくアポのチャンスが来ても準備不足で取りこぼすことになってしまいます。

新規開拓前に準備すべき要素は3つ存在し、事前に用意して新規開拓に取り組むことができれば、効率的に新規開拓ができることはもちろん、成功率を上げる要因にもなります。

ここでは新規開拓を始める前に準備すべき3つの要素を解説します。

顧客リスト

新規開拓を行う前には必ず新規開拓する企業の必要情報を集めた顧客リストを作成する必要があり、テレアポでも飛び込み営業でも顧客リストを用意せずにいきなり電話や訪問をしてはならないのです。

テレアポを行う際に、電話する先を1つ1つ調べては電話をしてまた調べるを繰り返す方がいますが、この方法は非常に非効率な方法です。

モノづくりの現場では加工に必要な材料や器具は全て揃えてから加工を始めるのと同じで、テレアポ前に電話をかけるために必要な情報をリストアップする必要があるのです。

リストアップを事前にしておくことで、調べては電話をするような非効率なやり方でなく、電話の手を止めることなく効率的に新規開拓をすることが可能になります。

顧客リストに必要な情報は以下の通りです。

  1. 会社名
  2. 住所
  3. 電話番号
  4. 購買機能を担う部署名

会社名、住所、電話番号が必要なのは見てわかると思いますが、「購買希望を担う部署名」がポイントです。

企業によっては購買機能を持つ部署が「購買部」ではなく「資材部」や「調達部」と名称が異なる場合があるので、可能であれば会社概要の組織図を見て、該当部署を特定しておくと、受付の方にどの部署に繋いで欲しいかをスムーズに伝えることができます。

新規開拓のアクションを起こす前に、まずはどの会社を責めるかを明確にした上でのリスト作成が重要です。

トークスクリプト

新規開拓の成功の9割を握るのが電話や訪問した際に、受付や担当者に対して提案する内容をまとめた文章であるトークスクリプトです。

このトークスクリプトが新規開拓の成功の鍵を握る要素であり、トークスクリプトが充実した内容であれば、営業経験者でなくても、誰でも新規開拓で成果が出せるようになります。

しかし、トークスクリプトに関してはどれだけ、営業経験を重ねたベテランでも一朝一夕で完璧なものを作ることはできません。

トークスクリプトもモノづくりの考え方と通ずる部分があり、試作品を作っては実際に電話で試してみて、ダメなところを改善して、また検証して、品質を磨き上げていく必要があるのです。

何度も何度も試すことで、勝ちパターンがが少しずつ見えるようになり、「この話をすると受付は担当に回してくれる」「この提案をすると、担当者から質問がくる」という形でトークスクリプトのナレッジが蓄積されるのです。

根気がいる作業ではありますが、トークスクリプトが磨かれていくのと比例して、新規開拓成功率が向上していくのでいつの間にか苦労せず、新規開拓ができるようになります。

制作事例Webサイト

担当者と電話が繋がった際に、具体的に制作事例や設備を見てもらいながら提案をするためには制作事例のWebサイトが必要となります。

電話営業で、仮に購買担当者と電話が繋がったとしても、言葉だけで自社が何ができて、どういうことが得意なのかを伝えるのは難易度が高いです。

しかし、制作事例の写真や動画が掲載されたWebサイトがあるだけで、あなたはあなたは沢山話す必要もなくなることに加え、購買担当者の方から多くの質問が飛んでくることになります。

「百聞は一見にしかず」という言葉あるように、購買担当者も話で聞くより、実際に「どんなものが作れるのか」を自分の目で見る方が都合が良いのです。

もしも、購買部が実際に他で購入している部品と同じ物が制作事例にあれば、間違いなく興味を示すことでしょう。

トークスクリプトも重要ですが、この制作事例を用意することでより、新規開拓の成功率を高めることができます。

【まとめ】製造業の新規開拓はライバルが少なく、購買部も新規提案を求めているので難易度が低い

この記事ではこれから新規開拓を始める企業が事前に理解すべきポイントに関して解説をしてきました。

製造業の新規開拓は競合がいないことに加え、高齢化による既存サプライヤーの廃業でメーカーもコスト競争力のあるサプライヤーを求めているので難易度は下がっており、先に行動を始めた企業が先行利益を獲得する状態になっています。

新規開拓で重要なのは営業スキルやトークスキルではなく、適切な方法でどれだけ継続して、数をこなせるかです。

闇雲に新規開拓に手を出して、失敗続きでモチベーションを無くして新規開拓を諦めるのではなく、正しい方法を繰り返して、小さな成功を掴んで、新しい市場とお客様を掴み取ってください。

弊社は日本で唯一、金属加工業の新規開拓を丸投げで支援する営業支援サービス「AnySales」を提供し、日本全国の町工場の新規顧客開拓を支援しております。

「新規開拓をどうすればいいのかわからない」「どの方法が自社にとって最適なのか知りたい」という方はぜひ、無料の新規開拓相談にお問い合わせください。

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