製造業の新規開拓でやることはシンプルで、多くの企業で成果が出ないのは新規開拓の方法が間違っているからです。
製造業、町工場では「新規売上の創出」「主要取引先1社への依存の脱却」などから新規開拓に取り組んでいるかと思いますが、多くの企業が以下のような悩み抱えているはずです。
- 新規開拓をしたことがないから、そもそも方法がわからない
- 試行錯誤して継続的に新規開拓をしているがなかなか成果が出ない
製造業の新規開拓のノウハウや成功例はまずネットに情報がなく、どの会社もヒントやノウハウなしで新規開拓に取り組む必要があり、成果を出すための方法は自分で見つけるしかないのです。
通常業務をこなしながら、電話などで断られることが多く精神的負担の多い新規開拓をどの方法が良いかわからない状態で続けるのは根気が作業であり、継続が難しい背景にもなっています。
この記事では10年間の新規開拓で日本全国の大手メーカー様の新規開拓を成功させた経験から営業ノウハウや経験がなくてもできる製造業の新規開拓方法を解説します。
「これから新規顧客を開拓していきたい」「なかなか成果が出ない新規開拓を改善したい」という製造業に携わる方は必見です。
世の中の製造業は新規開拓を難しく考えすぎ
製造業では新規開拓を難しく考えすぎて、自分自身で新規開拓のハードルを高くしているのです。
新規開拓でメーカーの購買部にアポを取る、提案をする前に以下のようなことを考えていませんか。
- たくさん話して、自社の良さを理解してもらおうと説明を何度もイメトレ。
- 会社規模が小さいから、相手にされないんじゃないか。
- ライバルはたくさんいるから価格競争になる。
上記のような悩みは一切持つ必要はないので安心してください。
ここでは製造業の新規開拓における誤解を解決します。
話し上手である必要なし
製造業の新規開拓において「話し上手」である必要はありません。
営業、中でも新規開拓となると、聞き手である購買部が驚く説明や提案をしなきゃいけないと思う方が多いですが、これは間違いです。
むしろ、提案を受ける購買部はサプライヤーに喋り続けられると嫌気がさして、相談をしたり、図面を出すことは決してありません。
製造業の新規開拓は恋愛と共通点があり、いきなり出会った異性に自分(自社)のことを永遠説明され続けたら、おそらく嫌気がさして、相手とお茶をしたり、相談をしたりする気は出ないでしょう。
つまり、「話し上手」でないといけないというのは誤解であり、むしろ「聞き上手」であることが重要です。
「新規開拓をしても中々成果が出ない」と感じている方はご自身の商談やテレアポの中で一方的に話し続けていて、「購買部の話を全然聞けていない」が当てはまるかもしれません。
製造業の新規開拓において「聞き上手」であることが重要であることの解説は以下の記事にて解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
会社規模は関係なし
「従業員が数名、創業してまもない町工場だから」など会社規模や設立年数は新規開拓の成功に全く関係ありません。
よく「うちは小さいから」「創業して数年だから」と新規開拓ができない理由を耳にしますが、2023年度で会社規模が理由で価値ある提案をする町工場を断るようなメーカーは存在しません。
むしろ、後継者不足や年齢の兼ね合いで廃業が加速的に増えている中で、購買部は若くて、機動力のある町工場を求めています。
以下では会社規模の大きさごとのメリットを列挙します。
従業員:20人以下の企業 | 従業員:50名以上の企業 |
小ロット短納期に対応できる | 廃業サプライヤーのLOT製品の受け皿になれる |
人件費負担が少ないので価格メリットが出せる | 既存の仕事の中でネスティング効率化など量のメリットが出せる |
「会社規模が大きいから、小さいから」と考える必要はなく、既存サプライヤーの廃業が進み、従来通りの調達ができなくなっている購買部は規模に関わらず、新しいサプライヤーを欲しているのです。
製造業の新規開拓はライバルなし
製造業において新規開拓に継続的に取り組んでいる町工場は少なく、新規開拓の場で相見積になるケースは滅多にありません。
「新規開拓をしても、どうせ最新設備を他所に負けちゃう」「設備もない、人もない会社が新規開拓は難しい」なんて悩んでいる方は安心してください。
10年以上、製造業の様々な業界で新規開拓をしていますが、1度も競合サプライヤーと相見積になったことは1度もありません。
怪しいと感じ場合は知り合いの加工会社さんや仲間の会社さんで継続的に新規開拓を続けている企業はありますか?
基本的に製造業の中の町工場では、「新規開拓ができる営業担当は少ない」ため、新規開拓自体に取り組んでいる会社様は本当に少ないのです。
そのため、新規開拓をしても競合に負けると悩む必要はありません。
製造業の新規開拓では購買部の悩みを解決するだけでいい
製造業の新規開拓を成功させるために必要なのは購買部の悩みが何かを特定し、解決策を提示することです。
新規開拓を考えた時に「何を話すべきかわからない」「何を相手に伝えるべきか」と悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
製造業の新規開拓がうまくいかない1番大きな理由は「購買部が悩み」を理解せず、的外れな提案を町工場側がしているからです。
「購買部の悩みを解決する」って簡単に言うけど、町工場が何を解決すればいいのかわからないという方にどの業界、業種に問わず全ての購買部が抱える悩みを解説します。
購買部の悩み①:小ロット短納期
購買部の頭を悩ませる1番の要因は「小ロット短納期」の対応です。
「小ロット短納期」はどの購買部も悩む問題であり、この部分で困っていない購買部はあり得ません。
製造業では当たり前ですが、同じ製品をある程度まとまったLOTで生産するのが1番効率が良いのですが、このLOTのある仕事はどこでも設備さえあればできるので、購買部はこのLOT仕事を依頼する先に困っていません。
ですが、生産数が10個未満で納期も発注から2日、3日程度の工程調整が必要で、段取りの手間がかかる小ロット短納期になると話は別です。
メーカーでは、エンドユーザーの都合で小ロット、短納期の仕事が発生し、手配をするのですが、この手配をする際に以下のような悩みが生まれています。
- 既存サプライヤーは小ロット短納期の仕事を受けてくれない
- 受けてくれても断り価格の高い見積
- 希望納期よりも長い納期になってしまう
購買部の立場になると、小ロット短納期の仕事は社内の営業から大至急と急かされており、急いでいるけど金額は抑えてと言うオーダーを受けているのです。
既存サプライヤーは他の仕事で手一杯、やってもいいけど金額や納期が要望通りにいかないなどで購買部は手配に苦労しているのです。
これらのことから新規営業をする際は自社がどんな設備を持っているなどの話よりも「小ロット短納期で困っていませんか?」と提案することで相手は快く話をする場を設けてくれるのです。
購買部の悩み②:既存サプライヤーの廃業
購買部の最大の悩みはこれまで依頼していた既存サプライヤーが廃業することによる依頼先の減少です。
製造業に身を置く会社さんであれば、周りの企業で廃業の声が聞こえてくるかと思いますが、実態として日本全国で深刻なサプライヤー不足の兆候が出ているのをご存知ですか。
- 東京、埼玉のメーカーは関東圏ではモノが買えず、東北から仕入れている
- 大阪では歯車を加工できる歯切り加工の会社が廃業続きで静岡、九州からしか買えない
製造業における町工場の後継者不足や高齢化問題は深刻な問題であり、購買部が最も悩む問題になっています。
これまで父ちゃん母ちゃんの小さな工場でLOT仕事以外にも困った時に電話すればすぐに納品してくれていたよりになる会社が次々にいなくなっているのです。
昔からの付き合いで頼りになる父ちゃん母ちゃんの町工場が小ロット短納期も対応してくれたけど、その依頼ができなくなり、自社工場から近い工場は他の仕事でいっぱいで依頼を断られるなど、メーカーでのサプライヤーの囲い込みも始まっています。
「既存サプライヤーの廃業で困ってませんか?」この質問をして困ってないと言う購買部はほとんどありません。
自社の説明を延々とするのではなく、相手の悩みを特定し、シンプルに質問し、解決策を提示してあげれば大手企業であっても簡単に新規開拓することができます。
製造業の購買部の悩みをもっと詳しく知りたいと言う方は以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
製造業のシンプルな新規開拓の手順
製造業の新規開拓は意外とシンプルで1度、営業の型さえ決まれば、繰り返し同じ手順で新規開拓ができるようになります。
町工場が大変なのは営業のノウハウがないのでどのような手順で営業活動をすればいいかわからない点ですが、製造業の新規開拓は他の営業と違い、予算や決済者などの概念は考える必要はありません。
ここでは製造業におけるシンプルな新規開拓の手順を解説します。
手順1:製品事例集を作る
自社で「何が加工できるか」を口頭で伝えることなく相手に簡単に理解してもらえる製品事例集を用意します。
製造業の町工場で製品事例集を持たずに新規開拓をされる企業が非常に多いのですが、製品事例集は新規開拓で必須のツールです。
高い制作費用を払って、立派な会社案内を作る会社がありますが、会社案内の中に製品事例ページを作らない会社が実に多く、製品事例のない会社案内は新規開拓の場面では意味を持ちません。
- 購買部にとってどんな設備を持っているかはあまり興味がない
- 綺麗な写真、格好いい言葉は購買部にとって1つも興味がない
- 設備だけ見てもどんな加工ができるかイメージできない
上記なような理由から会社案内は新規開拓では効果がありません。
むしろ以下のような情報だけ載せた簡易的な製品事例集の方がはるかに効果があります。
- 製品写真
- 材質
- 板厚
- サイズ
結局のところ、購買部が知りたいのは何が作れるかであり、工場の内観や外観、設備などは工場見学をすればわかることです。
製品事例集を提出すると、町工場側が話さなくても購買部が勝手に以下のような質問をしてくれて商談が盛り上がります。
- 似たような製品があるんだけど、できる?
- これってLOTどのくらいなの?
- 材料はどこまであるの?
1番チャンスに繋がるのが、製品事例に挙げた製品と似たような製品を購買部が扱っている場合で、その場合「これと同じのがあるよ」となるのでその後に「ぜひ見積で実力を見てください」という図面をもらえる運びが出来上がるのです。
コストをかけて立派な製品事例集を作る必要はないので、シンプルな製品事例を用意しましょう。
手順2:購買部へテレアポ
製造業の新規開拓では電話提案をするテレアポが最適であり、他の営業手法であるフォーム営業などは実施しても意味がありません。
テレワークが進み、お問い合わせフォームに営業メールを送るフォーム営業を取り入れる企業が出ていますが、製造業の町工場が新規開拓でフォーム営業を活用するのはおすすめしません。
フォーム営業はクラウドサービスなどの無形商材であれば効果はありますが、有形商材である製造業の営業においては効果が薄く、大手メーカーにはたくさんの部署があり、フォーム営業メールが購買部に届く確率は限りなく低いためです。
製造業における新規開拓でのテレアポに関しては必勝法が存在し、重要なのは以下の2つです。
- 焦って話しすぎないこと
- 「小ロット短納期」と「既存サプライヤーの廃業」に関して質問する
新規開拓に慣れていないとついつい焦って話しすぎてしまいますが、これは絶対NGです。
テレアポでは「自社のことを話す」のではなく「購買部が興味を持ってもらう」ことが重要でそのためには購買部が必ず抱える悩みの2つである「小ロット短納期」と「既存サプライヤーの廃業」に関して質問をするのです。
以下の記事では製造業の新規開拓で「間に合っています」とテレアポで断られないテレアポ必勝法を解説しています。
テレアポの詳細に関して知りたい方はぜひチェックしてください。
手順3:提案書で説明
テレアポで商談を獲得したら、後は商談の席で提案書を基に購買部への提案です。
「提案書なんて作り方わからない」という方は安心してください。
日本全国で購買部に対して提案書を出して提案している町工場は弊社がご支援している会社様以外はありません。
なぜ、提案書で説明することをお勧めするかというと以下の理由があります。
- 提案書を作ってくる町工場は必ず目立つし、注目を受ける
- 提案をする町工場が喋る内容が整理されるので営業の難易度が下がる
- 購買部もその資料を上司に回すだけで話が進むので嬉しい
「町工場がコストダウンの提案書を持ってきた」これだけで購買部内で大きな注目を集めることになり、2回目以降の商談や見積依頼のチャンスにつながります。
目立つことは製造業の新規開拓においてはとても重要で、新規見積案件が出た際に「そういえばあの会社」「1回見積してみようかな」というふうに購買部に思い出してもらうきっかけになります。
また、提案書があれば提案をする側の町工場は相手に説明すべきことが順番に書いてあるので、毎回話す内容を考えなくてもスラスラ相手に説明することができ、町工場とっても営業の負担を減らすことができます。
最後に提案書を用意すれば、提案相手である購買部の担当がその資料をそのまま購買部の他のメンバーや上司に紹介する際にわざわざ説明する手間も減らすことができるので購買部にとっても嬉しいポイントなのです。
提案書を作る手間はかかりますが、かかった手間よりも遥かに大きいメリットを町工場にも購買部にも生み出すのです。
まとめ:製造業の新規開拓は極めてシンプル
この記事では製造業が新規開拓をする際に購買部に伝えるべき2つの内容とシンプルな新規開拓方法を解説しました。
インターネットにもなかなか情報が落ちていないので町工場は新規開拓を難しく考えすぎてしまい、なかなか行動に移せない状況を生み出したり、成功からは程遠い手段をとって苦労している状況です。
「製造業の新規開拓はシンプル」であり、購買部が抱える2つの課題に対して、質問をし、その解決策を提示してあげるだけです。
話し上手である必要もないし、会社規模も関係ありません。
製造業でなかなか新規開拓をしているけどなかなか成果が出ない方やこれから顧客開拓に取り組む方はぜひ、参考にしてみてください。
弊社は中小金属加工業の新規開拓を丸投げで支援する営業支援サービス「AnySales」を提供し、日本全国の町工場の新規顧客開拓を支援しております。
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