町工場の営業失敗は設備紹介のせい。本当に必要なのは製品事例だった

町工場の営業活動が失敗する原因は購買部が興味のない設備紹介ばかりしていることが原因です。

購買部にアポを取って、迎えた商談の席で「自社はこんな設備がある」「こんな最新設備を入れた」なんて設備紹介ばかりしていたら要注意です。

町工場が一生懸命に設備紹介をしても購買部は見積提出に必要な図面を出してくれません。

そしてあなたが一生懸命している設備紹介は購買部からすると実はどうでもいい話なのです。

町工場が商談を成功させて、その場で図面を獲得するために必要なのは「製品事例」です。

この記事では町工場の営業失敗は設備紹介のせいである理由を解説すると共に本当に説明すべきは製品事例である理由を解説します。

目次

設備紹介しても営業は成功しない

商談の場で購買担当に会社案内に記載している加工設備を丁寧に説明している町工場を多くいらっしゃいますが、加工設備の説明をしていても新規開拓の営業は成功しません。

営業は「相手の課題を解決する」ことが目的であり、自社の保有する加工設備を説明するのは「課題解決ではなく町工場の自己満足」です。

かつ、何よりも理解していただきたいのは購買部は加工設備のことなんてこれっぽっちも興味がないのです。

ここでは設備紹介が重要ではない理由を解説します。

設備紹介を求めてない

町工場から提案を受ける購買部は商談の場で加工設備を紹介されることを全く求めていません。

どの町工場も「こんな設備があります」「こんなことができます」など開口1番で加工設備に関して熱く語りますが、この説明を聞く購買部側の気持ちは「また始まったか」という感じです。

購買部は提案をしてくる町工場がどんな設備を持っているかに関して大して興味を持っていないのです。

購買部は加工設備の説明をされても、その加工設備で具体的にどんな製品を製作しているかを具体的にイメージできないからです。

新規開拓の営業に失敗する町工場は購買部が求めている情報を伝えるべきところ、聞きたくもない話を熱心にしているのです。

あなたが何かモノやサービスを購入する時に、それがどんな加工設備や仕組みで作られているか詳しく知りたいですか?

それよりも「使った時にどんな体験を得られるか」に興味があるはずで、購買部に本当に伝えるべきは「自社に加工を依頼した場合にどんな体験を得られるか」であり、決して加工設備の詳しい話ではないのです。

加工設備をそもそも知らない

ベテランはさておき、中堅や若手レベルの購買担当はモノづくりの理解が少なく、そもそも発注している製品がどのような加工設備を使って、加工されているかを知らないことが多いです。

驚きかもしれませんが、上場メーカーの購買担当や設計担当であっても加工設備に関して詳しく知らない、そもそも現場にあまり携わらないという人の割合が年々増加しています。

そのため、毎日注文はするけど、それがどんな加工設備を使って、最終製品なっているかを全く知らずに手配している購買担当も存在するのです。

この加工設備に関してよく知らない、どんな加工でモノが形作られているかを把握していない人に加工設備の話を熱心にしても、何の共感も興味も得られないのは当然です。

町工場が一生懸命伝える内容が聞く側である購買部とミスマッチしているため、商談のゴールである図面獲得まで辿り着けないのです。

加工設備が目的ではない

購買部は決して最新設備を持っていると言う理由で部材発注を決めることはなく、あくまでも手段としてしか考えていません。

加工設備が最新であるか、どれだけ高性能な設備を入れているかは購買部の発注基準ではありませんので、特殊加工を除き、どんなにいい設備を持っていてもそれが理由で発注になることはありません。

結局のところ、加工設備は製品製造における手段でしかなく、購買部の本当の目的は「より廉価に高品質なモノを安定的に仕入」ことです。

つまり、加工設備に関する説明をするのでなく、加工設備をもとにどんなメリットを提供できるかを伝えるべきなのです。

  1. 夜間自動運転なので人件費を抑えた加工賃を提供できる
  2. 形鋼にもレーザー加工できるのでこれまで悩まれていた長穴加工でどんな長穴でも加工できる
  3. ファイバーレーザーで従来のレーザー加工機より切断時間が短いので加工賃が抑えられる

購買部が興味を持つのは加工設備がどんだけ優れているかでなく、その機能や性能で「コストが抑えられる」「納期が短くなる」「品質が高くなる」と言う購買課題を解決してくれる要素なのです。

製品事例が町工場の営業を成功に導く

町工場が新規開拓で購買部に提案をする際に必ず用意すべきは「製品事例集」です。

立派な会社案内を業者に頼んで用意するのもいいですが、ほとんどの町工場の会社案内には製品事例が入っておらず、製品事例のない会社案内には何の価値もないので注意してください。

製品事例集さえあれば、町工場が1番必要とする図面獲得までスムーズに商談が進むので、用意しないのは損をしているのと同じです。

ここでは製品事例を用意することで新規開拓が成功に繋がる理由を解説します。

製品事例が1番重要

購買部が新規提案をしてくれる町工場から本当に聞きたいこと、それは「どんな製品を普段加工してるのか」を示す製品事例です。

普段からどんな製品を作っているのかを製品事例から購買部が理解できれば、自社のどんな製品の加工を依頼できそうな町工場なのか、どんな製品の話をすればいいかと購買部側でも話題整理が可能になり、商談がスムーズに進みます。

展示会に出たことのある町工場の方はイメージできると思うのですが、展示会では来場者の方とスムーズに話が進むと思うのですが、その際に加工設備の話は出ておらず、話題の中心は展示製品のはずです。

展示会に自分のブースで足を止めてくれる人は大体、以下のような順番で話が進みます。

  1. この展示物と似たような製品が自社にあるんですよ
  2. これって長さが変わったり板厚が変わってもできますか?
  3. こんな困り事があるのですが、解決できますか?

上記のように購買部は提案してきた町工場が「自社製品に関連する部材を加工できる」と町工場からの説明で理解できれば、具体的な製品の話や「こんな困り事があるんだよね」の相談フェーズに入り、商談が進みます。

つまり、購買部は初めて会った町工場が自社の調達製品の加工に合致する会社どうかを判断する材料を求めており、その材料こそ「製品事例」の情報です。

購買部内の情報共有に役立つ

製品事例があれば、口で説明しないでも購買担当は製品事例を回すことでスムーズに上司や同僚に町工場の情報共有が可能になり、より図面獲得の可能性が上がります。

町工場は商談をする時のことだけでなく、商談終了後に購買担当が行う社内共有にも気を配る必要があります。

基本的に購買部というのはサプライヤーになり得る存在からの新しい提案が来た場合、購買部の部門長、上司、同僚に提案を受けた情報を共有することが通例です。

しかし、製品事例なしで会社案内だけの商談をした場合、購買部全体への情報共有の際に以下のようなケースに陥ってしまいます。

  • 製品事例がないので何を作っているか資料で把握できない
  • 購買担当はわざわざ口で説明をしないといけない
  • 写真がないので、他の購買担当はどんな仕事が出せるかイメージできない

製品事例がないと、購買部全体に自分たちがどのような製品を普段加工して、どんな特徴があるのかを理解してもらうことができないので、「これ困ってるんだよね」「これ見積もりできる?」というチャンスが回ってこないのです。

また、購買担当も口で説明するのがめんどくさいので、ついつい会社案内を机の引き出しにしまい込んで、情報共有をしないまま終わるなんてことにもなりません。

逆に製品事例をしっかりと用意した場合は以下のような町工場にとって望ましい状況が生まれます。

  • ちょうど抱えていた案件と似た製品だから価格を出して欲しい
  • 同じような製品を他に見積もってるけど、高額で悩んでいた
  • 最近、廃業したサプライヤーと似た製品が多いので、もう1度話を聞きたい

製品事例を持っていくだけで、商談をした購買担当、そして購買部全体から引き合いをもらえるチャンスを作ることができるのです。

かつ、商談をした購買担当は製品事例集を購買部全体へ共有するだけなので口で説明をする何倍も簡単になり、製品事例の存在は購買担当にとっても嬉しいものなのです。

製品事例は最も効果的かつ簡単に購買部から引き合いを引き出す道具なのです。

図面獲得しやすくなる

製品事例があれば、「この事例製品と同じような製品があるよ」「この事例だけど条件を変えても対応できる」と町工場が一生懸命説明をしなくても、購買部から勝手に図面獲得につながる話を持ち出してくれます。

本来、図面獲得をするには以下のプロセスを踏む必要があります。

  1. 町工場が購買部に発注した場合のメリットを説明
  2. どんな製品に調達課題があるか特定
  3. コストダウンや課題解決ができるので図面共有の依頼

この3つのSTEPが町工場かがメーカーから図面獲得するためのロードマップですが、製品事例を見て、購買部の方から「これがあるんだよね」などと切り出してきたら、3STEPは全て省略でき、かつ図面獲得の格段に向上します。

購買部が製品事例を基に「こんなことできる?」と質問をしてくるのは興味を示している証であり、その後に「1度、詳細を拝見したいので、図面を拝見できないでしょうか」と言うだけで「ちょっと待ってね」とその場で図面がもらえます。

製品事例がない場合はこの「こんなことできる?」を引き出すには喋りでなんとかするしかありませんが、製品事例として「製品写真1枚と材質、サイズ」だけ用意しておけば簡単に購買部の興味を引き出せるのです。

製品事例を活用するメリット

製品事例は営業をする町工場から商談をする上での負担を軽減してくれる心強い存在であり、特に嬉しいのが町工場が「商談の場で営業トークをする必要がなくなる」と言うことです。

町工場で営業が得意、どんな相手でもなんでも話すことができると言う人はいないはずで、むしろ営業トークは苦手で、できることなら話は少なくしたいと思うはずです。

商談の負担を軽くしたいと考える方には製品事例を活用するのがピッタリです。

ここでは町工場が製品事例を活用するべきメリットを解説しmす。

とにかく話が弾む

製品事例があれば購買部との商談の席で、事例を見て、購買部が質問を投げかけてくれるのでとにかく話が弾み、町工場側が話さなくても質問に答えれば、商談がうまく進みます。

町工場の営業において失敗する商談の共通点は「とにかく町工場側が喋るけど、購買部が何も質問してくれず、すぐに商談が終わる」ことです。

苦手な営業活動だけど、仕事獲得のために必死に説明するけど、少しも興味を持ってもらえずにいつも30分も商談が続かないなんて悩みを抱えている方も多いはずです。

残念ですが、事実として商談の場で購買部が質問をしてくれないのは「町工場の話に興味が持てない」からです。

しかし、製品事例さえあれば、簡単に購買部が興味を持ってくれて、町工場が喋らなくても購買部から質問が出てくる状況が作れるのです。

購買部が1番興味を持つのは「どんな製品を作っているのか」「自社と類似する製品を作っているか」と言う点であり、町工場は商談の場で「自分たちが何を加工しているか」を簡潔に証明する必要があります。

ただし、これを口で説明するのは失敗の原因であり、苦手な営業トークをするハメになりますが、製品事例を用意しておけば、その製品事例を開いて指を刺しながら、「こんな業界のこんな部品やってます」で済むのです。

簡単に得意領域を理解してもらえる

購買部が知りたいのは「提案してきた町工場の得意領域」であり、得意領域を購買部にしっかりと伝えることができれば、購買部から「こんな製品できる?」の図面獲得に繋がるワードを引き出せます。

購買部も図面を出したくない訳ではないのですが、提案をする町工場がどんな加工が得意なのかをわかるように説明してくれないと、どの図面を出すべきか、何を相談すべきかを理解できない状況になっています。

営業で失敗する町工場は購買部に対して「自社がどんな加工が得意なのか」をわかりやすく伝えられてないため図面や購買部からの興味を引き出せないのです。

しかし、製品事例があれば町工場は苦手な営業トークをしなくても、製品事例に記載されている製品写真と材質、寸法の情報を見れば、購買部は町工場が普段何をやっているか、得意領域を理解してくれます。

「論より証拠」「百聞は一見に如かず」の言葉があるように製品事例さえあれば、町工場は商談の場で話さなく済むのです。

【まとめ】町工場の新規開拓に製品事例集は必須

この記事では町工場の営業失敗するのは無駄な設備紹介の話のせいであり、本当に必要なのものは製品事例であるということを解説してきました。

商談の場で話すのが苦手、商談をしてもいつも盛り上げらずに終わってしまうという方は今すぐに製品事例集を作成してください。

製品事例集の用意さえすれば、町工場は以下のような未来が待っています。

  • 町工場側が話さなくても、購買部が質問をしてくれる
  • 商談の最中に図面を見ながら、具体的な話ができる
  • 商談して終わりでなく、商談後に図面が送られてくる

製品事例は手の込んだものを作る必要はなく、無料ツールを使えば簡単に作成できます。

かつ、必要な情報は「製品写真」「材質」「製品サイズ」だけなので手間もかかりません。

もしも、製品事例集を用意したいけど、用意できない、作成方法がわからないという町工場様には無料で製品事例集のテンプレートと作成サポートをいたしますのでお問い合わせよりご連絡をください。

弊社は日本で唯一、金属加工業の新規開拓を丸投げで支援する営業支援サービス「AnySales」を提供し、日本全国の町工場の新規顧客開拓を支援しております。

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