【図面付き】町工場が知るべき購買部の課題と業界別の外注部材を解説

新規開拓したいけど、どうすればいいか分からず、営業に足踏みをしている方に新規開拓をしないと知れない購買部の課題と業界ごとの外注部材の図面までお届けします。

新規開拓をしようと思ってもおそらく、以下の2つの理由で営業ができていないはずです。

  • 購買部のどんな問題を解決すればいいのか
  • そもそもどんな仕事があるのか、自社に合う業界なのか分からない

断言しますが、購買部の課題も業界にどんな仕事があるかは、実際に新規開拓をして、購買部と話して、図面をもらわない限り、知ることはできません。

どれだけ周りに聞いたり、ネットで調べてもあなたが知りたい情報は落ちていません。

しかしこの記事では新規開拓をしたい町工場の誰もが知りたい、「購買部の悩み」「業界ごとの特徴」と「業界別の外注部材」を大公開します。

新規開拓したいけど、なかなか足を踏み出せない方は必見です。

目次

購買部が抱える課題

購買部が抱える課題は時代により変化しますが、令和の時代で購買部が頭を抱えているのは、以下の3つです。

  1. 既存サプライヤーの廃業
  2. 購買部の人手不足で身動き取れない
  3. 購買コストが割高に

ここでは新規開拓をする際に知っていれば、間違いなく購買部に興味を持ってもらえる3つの秘密を解説します。

既存サプライヤーの廃業

高齢化や後継者問題による既存サプライヤーの廃業に大きな課題を抱えています。

昭和の時代から長い間メーカーを支えてきた町工場も経営者が高齢化を迎え、従来通りの仕事ができなくなる町工場が相次いでおり、関東では旋盤加工会社、大阪では歯車の歯切り加工を行う業者が壊滅状態になっているのです。

高齢化を迎えても、後継者がきちんと育っていれば問題ありませんが、3Kである製造業の町工場では後継者になりたがる人材も少なく、跡を継ぐことができずに工場を畳む会社がどんどん増えています。

購買部にとって既存サプライヤーの廃業は、最も恐れる事態であり、その理由は代替先の町工場を見つけるのが極めて困難だからです。

世の中で町工場が減っている、かつ生産能力のある町工場では既に他の仕事で一杯なので、依頼できない。

廃業がどんどん増えていく中で購買部は代替先となる町工場をなかなか見つけられない状態になっているのです。

人不足で身動き取れない

町工場だけでなく、実はメーカーの購買部も仕事量に対して、人手不足の状態で本来やらないといけない仕事に手が回っていない状態なのです。

購買部が人手不足というのは意外と思う町工場も多くいるかと思いますが、実態は町工場と同じで購買部も人が足りておらず、首が回らない状態なのです

購買部はサプライヤーへの発注業務以外にも以下のような仕事をこなしています。

  • 発注製品の物流管理
  • 開発部・設計部との仕様検討
  • 納入製品の受け入れ
  • 既存サプライヤーとのコミュニケーション
  • 営業部からの特注手配

規模の大きいメーカーになればなるほど、調達部品が増え、コミュニケーションする町工場の数が増加し、購買部は実は残業だらけであり、中には7時から22時まで働かないと仕事が終わらない購買部も存在します。

購買部は人を雇えば、仕事が回る仕事ではなく、材料知識や加工知識、仕入先との関係など中途入社した人材がすぐに仕事を全てこなせるわけではないので、ある程度、実務経験が必要な仕事なのでなかなか人を増やせないのです。

そのため、購買部は通常業務の処理に追われてしまい、本来やるべき「原価低減」や「新規サプライヤーの開拓」に手を出せていません。

調達コストが割高に

既存サプライヤーの廃業、購買部の人不足で新規サプライヤーを探せない、原価低減もできないので、調達コストは割高となってしまっているのです。

大阪では歯車を大阪エリアで仕入れることができないので、福岡や静岡の町工場に発注をして、高い運賃と長い納期をかけて調達をするメーカーが存在しますが、これは普通に考えてあり得ないことです。

関東では本来、旋盤でやるべき仕事を旋盤会社がないからマシニング加工で制作し、旋盤加工の倍以上の値段で仕入れるような購買部が普通に存在します。

町工場からしたら、なんでそんな割高な調達をするのか不思議で仕方ないはずですが、これは購買部が値段が高い、納期が長くても、製品を調達することを優先しているからです。

購買部は適正な価格で安定した品質の製品を調達するのが使命ですが、生産計画通りに物を仕入れられないと工場全体が止まるため、本来は優先すべき価格や納期を犠牲にして、調達することを選ぶ環境になっています。

つまり、多くの購買部は本来あってはならない割高な調達をしており、その課題を認識しているのですが、人不足で原価低減をする方法や新たな選択肢を探すことができないという最悪の状態なのです。

町工場が提案すべき3つの内容

町工場が購買部に提案すべき内容は「廃業サプライヤーに変わる調達先」、「割高な調達コストの改善」に加え、「人不足で悩む購買部の効率化」の3点です.

購買部への提案はコストばかりに目が行きがちですが、実は購買部の調達の手間を省略する提案も人不足で悩む購買部にとっては大変メリットのある提案になります。

ここでは町工場が新規開拓時に提案すべき3つの提案を解説します。

廃業する町工場の代替先

メーカーのサプライチェーンでの廃業が増えているのは事実であり、最もメーカーが重要視している廃業する町工場に変わる発注先としての提案は非常にシンプルかつメーカーにとって価値の高い提案です。

メーカーはコストはもちろんですが、安定調達が大前提であり、納期通りに仕入れられないはあってはならないのです。

そんな状況であっても購買部は既存業務が忙しい、なかなか自分たちで廃業した町工場に変わる発注先を見つけられない状況で、町工場の方から廃業したサプライヤーの補填となる提案は身動きができない状況で非常に嬉しい提案になります。

また、メーカーでは相次ぐ既存サプライヤーの廃業を受けて、まだ廃業の声は上げていないが、高齢化や後継者が育成できていないリスクのある既存サプライヤーを早々に切り替える動きも進めているのです。

つまり、どのメーカーも「廃業した町工場」「廃業しそうな町工場」に代わる新たな調達先の選択肢を求めているので、町工場にとってかつてないほど新規開拓が簡単になっています。

町工場にとって新規開拓が最もしやすい状況になっていることを具体的に今1番新規開拓がしやすい大阪を例にとって具体的にどんな状況で、大阪のメーカーが何を求めているかを以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。

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コスト最適化の提案

安定調達を優先して、購買部は遠方からの購買や割高な調達など適切でない仕入を行なっているので、現地現物や適正な加工でのコスト最適化を提案すべきです。

購買部は町工場の相次ぎ廃業で本来は工場から1時間圏内で仕入れるべきところを県外からわざわざ高い運賃と長い納期をかけて調達をする、本来の段取りの少ない加工でなく、段取りばかりかかる加工で製品を作る異様な状況なのです。

これは本当に異常であり、購買部の使命である「適正な価格で品質の高い製品を調達する」が実現できていないと同じです。

そのため、町工場は以下の3つのコストに関して提案をすべきです。

  1. 加工費
  2. 運賃
  3. 特注費用

加工費はシンプルで、例を取ると数が少なく、旋盤加工すれば済む製品をわざわざマシニング加工で製作して、3倍以上の加工賃が取られるなどの本来の適切な加工ができていない場合の割高なコストです。

運賃は大阪から静岡、埼玉から長野などありえないほど離れた町工場に依頼して、工場まで運ぶための高額な運賃のことでそのほかにもトラブルの際には遠方まで出向くなどの費用やリスクが該当します。

特注費は既存サプライヤーに頼んで、協力会社に作成してもらう場合の手間賃や工程が空いていないなどを理由に納期がないから高額な特注加工費用を請求される場合の無駄なコストです。

メーカーの調達費用は上記の3つで通常では考えられない購買を行なっており、これらの割高を解決してくれる町工場の存在は貴重な存在になります。

特に運賃に関してはシンプルに立地が近ければ、すぐに解決が可能で、かつトラブルの際にもすぐに購買部が現地にこれるなどのメリットがあるので利益を損なわない、利益の担保した仕事の確保にも繋がります。

調達業務の効率化

町工場では知られていませんが、実は購買部にとても喜んでもらえるのが購買担当の「調達業務の効率化」です。

あまりイメージが湧かないと思いますが、購買担当に喜ばれ、発注量を増やしてもらう際にも効果的なのが、発注や納期管理、物流管理をする購買担当の仕事や手間を減らしてあげることです。

購買部が人不足であり、大量の仕事を抱えていることを解説しましたが、購買担当も人であり、残業をせずに定時で帰りたいと思うのが普通ですが、現実は調達手配などの業務で残業だらけです。

そんな中で「ワンストップで製品の加工を行い納品できます」「見積回答はその日に返します」など何社も跨いで依頼してた部品調達が1回になる、見積回答も何日も催促しないですぐ手に入るのは購買部にとって最高に嬉しい提案です。

どうしても町工場は「値段を下げないと仕事がもらえない」と考えがちですが、それは利益が生まれない商売の原因であり、購買部の課題さえ理解していれば、価格を下げなくても購買担当を喜ばせる提案で仕事が取れます。

単純に購買担当が何時間も残業して、調達を行なってもその分残業代がメーカーにかかっており、100円〜200円安くしても購買部が残業したらもうメーカーは赤字であり、この購買担当の残業を減らすというコストダウンも貴重な提案なのです。

購買部をもっと知りたい、購買部が日々どんなことに悩んでいるのか知りたい方は以下の記事をご覧ください。

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各業界の外注部材と特徴を大公開

新規開拓をする際に事前にどんな仕事があるのか、どんな悩みが業界にあるのかを把握していると新規開拓の成功確率が跳ね上がります。

ここでは新規開拓を実際にしないと手に入れることができない業界ごとの実際の外注部材と業界の課題を解説します。

電材業界の特徴と外注部材

電材業界は短納期案件が多い、外注部材がシンプル、塗装もしくはドブメッキの協力会社があれば極めて新規開拓がしやすい業界です。

電材業界は基本的に工事現場に部材を納入することが多く、短納期が基本ですが、その分、製品の寸法交差などはかなり緩く多少の寸法のズレなどはほぼ気にされず、キズなどに関しても現場で乱暴に扱うのでほぼ問題になりません。

また、電材業界は短納期であるが故に通常ではありえないほどの高利益が期待できます。

例えば、電材業界で多いアングルやコの字のCチャンネルに長穴加工をして切断するだけの仕事でも通常では考えられない売値で提示しても、納期に間に合うなら見積が通ってしまうのです。

その背景として電材業界はエンドユーザーが工事店で工期を最優先で仕事をしているので、多少高くてもすぐに部材が入って工期が遅れないことが重要なので、高い安いは気にしておらず、いかに早く仕入れるかが優先なのです。

電材業界は通常の業界と違い、工場納入でなく、現場納入である点もあり、面倒な品質検査や受け入れ検査もないので、大きさによっては佐川での運送で済むこともあり町工場に負担も少ないのです。

以下は電材業界で外注部材として発注される製品の例です。

電材業界は比較的、加工工数がかからないシンプルな製品が多いので、小ロット多品種に対応できる町工場にとっては最も新規開拓がしやすい業界です。

トラック架装業界の特徴と外注部材

トラック架装業界ではステンレス材の高い溶接技術を持っていれば、多くの特注品パーツの仕事を獲得でき、かつユーザーがオリジナル性の高いオーダー品を望むため、極めて利益率の高い業界です。

前提としてトラック架装業界では深刻なサプライヤー不足で3つの問題が存在します。

  • 加工相談できる町工場が少ない
  • 加工会社がないので何社も挟んで紹介で仕入れることに
  • 何社も挟んだ発注なのでリードタイムが長すぎる

トラック架装はデコトラなどのコアなオーナーからの要望が多く、仕事は多く存在するのですが、その受け手となるステンレス加工できる業者が少なく、メーカーは割高な調達はもちろん、長いリードタイムのかけて部品を調達しているのです。

特にデコトラで装着する部品はいずれもステンレスであり、オーナーは美麗な溶接仕上げを求めるため、高い溶接技術さえあればいくらでも仕事を獲得可能で、ライバルもいないので価格の叩き合いにはなりません。

トラック架装業界は溶接の高い腕が求められる職人性が高い業界であるが故に、職人の高齢化の影響を強く受けて、美麗な溶接ができる町工場がいないので、ライバルとなるような町工場もいないので指名購買を受けることができます。

以下はトラック架装業界で外注部材として発注される製品の例です。

トラック架装業界は技術力が求められる製品が多いですが、ステンレス加工が難なく対応でき、溶接技術も高い町工場であれば、架装メーカーは常に外注できる町工場を探しているので、新規開拓が簡単です。

まとめ:購買部は課題だらけ!町工場は今すぐ提案を開始せよ

この記事では新規開拓をしたい町工場の誰もが知りたい、「購買部の悩み」「業界ごとの特徴」と「業界別の外注部材」を解説しました。

2023年現在、購買部は町工場の高齢化と後継者不足で様々な問題が一気に発生しており、どの購買部もたくさんの悩みを抱え、この悩みを解決してくれる町工場の存在を心から望んでいます。

そのため、新規開拓をすればどんな町工場であっても異業界のメーカーを開拓することはもちろん大手メーカーとの取引を作ることも可能です。

この記事で解説している「電界」「トラック架装」の2つ業界は比較的新規開拓がしやすい業界ですので、まずは2つの業界の特徴と外注部材を理解した上で新規開拓に取り組むのはいかがでしょうか。

とはいえ、これまで営業をしたことがない、営業できる人材がいないという町工場が大半かと思います。

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