高利益が欲しい町工場は今すぐに異業界を新規開拓すべき理由とは

町工場を経営していて、利益が出ない仕事でなく高利益を生む商売をしたいなら、異業界を新規開拓するしかありません。

金属加工業の町工場では、既存取引先の業界の縮小などで徐々に発注量が減っている、昔からの価格が残っており、納品しても全く利益の出ない仕事を行なっている企業が多いはずです。

商売をする以上、利益がなければ、以下のような状態に陥ります。

  1. 従業員に給料とボーナスを支払う
  2. 加工設備のメンテナンス費用を支払う
  3. ほとんど会社にお金が残ってない
  4. 新しい設備投資ができない
  5. いつまでも町工場に変化が起こらない

このループを繰り返すだけでいつまでも会社も社長自身も楽にならず、休憩のないマラソンのような経営をする町工場が大半です。

もしもあなたが上記のようなループを抜け出したいなら「異業界を開拓する」しかありません。

既存業界では高利益を生み出すのは不可能ですが、異業界では利益の確保可能です。

この記事では高利益が欲しい町工場は今すぐに異業界を新規開拓すべき理由と既存業界では利益が出せない理由、更に異業界への新規開拓に成功事例を解説します。

目次

既存業界では高利益は望めない理由

多くの町工場にとって受け入れ難い内容ですが、町工場が既存で取引している業界の顧客から高利益を生むのは不可能です。

理由は高利益で取引するための提案要素が1つもなく、かつ高利益を望めば望むほど購買部からの信頼を失い、既存の仕事を失うリスクがあるからです。

ここでは町工場が既存業界では高利益が実現できない理由を解説します。

加工単価がバレている

取引の長い既存業界の購買部には町工場側の加工単価が全てバレてしまっているため、高利益の商売を生むことは不可能です。

見積をする際には人件費や加工チャージが重要要素となりますが、既存業界は昔から長い取引の中で多くの見積のやりとりを購買部としてしまったので以下のような状況に陥っているのです。

  • このサイズなら金額はこの加工費だろうと予測されてしまう
  • 昔からの見積テーブルがあるので、急に高くすると異変に気づかれる
  • 似たような製品を出されて、見積を比較されてしまう

メーカー側には取引歴が長いほど、町工場が過去から提出してきた見積が溜まっており、ある意味では加工単価のデータが蓄積されてしまっています。

そんな中で高利益を求めて、今までより高い単価の見積を出すと、「なんで急に高いの?」「昔はこの価格だったよね?」と購買部に不信感を抱かれてしまうのです。

既存業界で高利益を生み出すには見積価格を過去よりも上げる必要がありますが、既に単価がバレてしまっているのでこの見積を上げるという行為がしにくい。

そして、利益を求めて見積価格を上げて出し続けると、既存の仕事を引き上げられてしまうリスクもあるのです。

安い仕事しか残ってない

既に仕事をもらっている既存業界で高利益を狙ったとしても、残っている仕事は既存サプライヤーが誰もやりたがらない安い仕事しか残っていません。

既存業界から仕事を増やしてもらうことは長年の関係もあるので、そこまで難しくないですが、出てくる仕事はやっても利益の出ない誰もやりたがらない安い仕事だけです。

なぜなら、購買部はサプライヤーの生産能力や過去からの関係を踏まえ、既存サプライヤーが困らないように仕事を分配して出しており、しっかりと利益の出るLOTのある仕事は既に他のサプライヤーで生産しています。

このLOTのある仕事は既存サプライヤーが廃業やよっぽど大きな品質問題が出さない限り、転注することはありません。

あなたがどれだけ素晴らしい提案をしても、長年取引のある他の既存サプライヤーから仕事を減らしてしまえば、既存サプライヤーが怒って、もうメーカーの仕事はしないと逃げられてしまうようなリスクのなり得ることを購買部はしません。

そう考えた場合に購買部が出してくる仕事は「誰もやりたがらない仕事」であり、得てしてそのような仕事は「とてつもなく安い」「手間ばかりかかって利益が残らない」ような仕事です。

もしも仮に新製品の設計情報が決まり、加工先のサプライヤーを探す絶好の機会があったとしてもそのような仕事は既存サプライヤーにも情報が伝わるので、全員が血眼で仕事を取ろうとするので、値下げ合戦に陥ってしまうのです。

既存業界がこれ以上の成長を望めない

高利益なビジネスが欲しいと考える町工場の経営者はおそらく「取引先の業界が危ない」「この業界では将来がないんじゃないか」と怪しんで、不安になっているのでないでしょうか。

既存業界が落ち込むことなく、常に右肩上がりで成長していれば、仕事の量も増え、十分な利益確保ができる仕事も円滑に回るはずなので、町工場が「高利益が欲しい」と考えるわけがないのです。

「高利益が欲しい」と町工場が考えるのは理由があるはずで、それは取引先が以下のような状態に陥るからです。

  • 毎年、少しずつ仕事量が減る
  • 「来月出るから」と口ばかりで仕事は全然来ない
  • コストダウンの指示が増え続ける
  • 材料費や電気代の高騰による値上げを飲んでもらえない

成長をしている業界であれば、仕事は常に増え続けるので、上記のようなことは起こらないはずです。

しかし、日本の景気後退や人口減少でメーカー側で販売数が減っていくと、生産数も当然落ちていくので町工場に落ちてくる仕事もどんどん減っていきます。

そんな右肩下がりで傾いている業界で高利益の仕事はあるはずがありません。

また、メーカー側では少ない販売数で利益を出す必要があるので、取る手段は「コストダウン」であり、その皺寄せは町工場に届き、どんどん町工場の利益が減る構図です。

そんな中で高利益を狙った見積や提案なんかしてみたら、「もういいです」と仕事を引き上げられることでしょう。

異業界こそ高利益を作れる理由

高利益が欲しい町工場は既存業界ではなく、全く既存業界とは関係のない異業界を狙うべきです。

多くの町工場は昔から付き合いのある業界のことなら全部知っているので安心、でも異業界は何もわからないという理由から異業界への新規開拓に手を出そうともしませんが、既存業界が草も生えていない焼け野原なら、異業界はオアシスです。

異業界にはこれまで想像もしなかった高利益を今までの仕事の仕方を変えずに、同じようにモノづくりをすれば、簡単に手に入るのです。

ここでは異業界こそ高利益が作れる理由を解説します。

業界で加工単価は全然違う

既存業界でのベンダー曲げ1回と異業界のベンダー曲げ1回の加工単価は同じでなく、業界ごとに製品に求める基準や商習慣が全く違うので、加工単価は全く異なります。

異業界で既存業界では高いと断られるような見積を出しても、「安い!ぜひ注文したい」とあなたの会社の加工単価が異業界ではとんでもなく安いという結果になることはザラに起こります。

業界ごとに製造する製品、リードタイム、要求品質は全く異なるので、当然、町工場側の加工チャージは異なります。

異業界に新規開拓をする町工場がいないが故に知られていない事実ですが、町工場はあまりにも長い時間を1つの業界で過ごしたので完全に「井の中の蛙」状態で外の業界の加工単価を知らないのです。

つまり、既存業界では怒られるような高い見積もりは実は異業界では信じられないくらい安いという結果になるのです。

以下は私が実際に異業界の購買部に驚かれた見積の例です。

  • 既存業界が金属検知器メーカーの町工場が電材業界のメーカーに見積を出したら利益率が30%向上
  • 既存業界が自動車メーカーの町工場がフォークリフトのメーカーに見積を出したら利益率が2倍に

このように業界ごとに製造する製品や求めるリードタイム、エンドユーザーの要望によって加工単価は全く異なるので、町工場が普段出している見積が異業界では当たり前ではなく、喉から手が出るほど欲しい提案に化けるのです。

以下は弊社の提供する新規開拓支援サービス「AnySales」で既存業界でなく、異業界に提案をすることで従来では実現できないような高利益を実現した町工場の事例動画になりますので、ぜひ根拠としてご覧ください。

メーカーは井の中の蛙になっている

メーカーの購買部や設計部は長年続く過去の設計思想や既存サプライヤーとのやり取りで調達や設計が井の中の蛙になっており、無駄や課題に気づけていないです。

この事実に気づいている町工場は本当に少なく、逆にこのメーカーが「井の中の蛙」であることを理解している町工場はどんどん高利益な取引を実現しています。

メーカーの購買部や設計部は調達をする上でやりとりをするのは既存サプライヤーだけであり、異業界の町工場と接点を持つ機会がないので、他の業界での当たり前や最善の加工方法を知らずに設計や調達をしているのです。

例えば、SUSの加工品を調達しているが、SUSの加工会社が都内に少ないことや溶接の仕上げが手間がかかるので、4社も間に挟んで、納期は2週間が当たり前と考える購買部がいました。

しかし、提案をした異業界の町工場からすると、なんてことはない曲げと溶接、仕上げも簡単なのに「なんで2週間?」「なんで4社も挟むのか」と感じ、町工場では普通の納期と単価で提案したところ、購買部は「なぜこんなことができる」と驚愕していたのです。

このように、メーカーの購買部や設計部も実は異業界の町工場と接点がないので自分たちの当たり前を疑うことができなくなっているのです。

これは本当に面白く、町工場が異業界に提案したところ、「なぜ、こんな加工で納期が長いのか」「なぜ、簡単な製品なのにこんな単価が高いのか」と疑問に思うような調達や設計をしているメーカーが実はごまんといるのです。

成長業界では値段でなく発注先を欲している

成長している異業界ではメーカーの受注量が多く、メーカーの工場では手一杯の状態になっているので、値段を叩くのではなく、とにかく安定品質で部品を供給してくれる町工場を求めています。

伸びている業界のメーカーでは町工場の廃業も相まって、「安く仕入れて利益を出そう」ではなく「安定品質で部品を供給してくれる町工場」を求めています。

業界が成長する=受注が増え続ける、つまり大量の製品を世の中に提供する必要があります。

受注が増加すればするほど、メーカーの工場が手一杯になり、どんどん仕事を外に出していく必要がありますが、人手不足と高齢化によって町工場はどんどん廃業しているので、メーカーも発注先となる町工場を探すのは一苦労です。

そのため、「安い値段で仕事を出そう」という基準でなく、「自分たちが生産しきれない製品を安定的に生産してくれる」という値段でなく、安定品質で安定供給を最優先にしているのです。

衰退している業界と成長している業界には大きな乖離があるのです。

  • 成長業界は安く仕入れようでなく、求める品質を安定供給してくれる町工場を欲している
  • 衰退業界は利益を出すためにとにかく安く供給してくれる町工場を探している

この2つの違いを知った上であなたはまだ衰退する既存業界で黙って仕事を待っていますか?それとも成長業界に足を踏み出す努力をしますか。

以下の記事では新規開拓の経験がない町工場が1か月で成長産業の大手メーカーを開拓した実際の事例を詳しく解説していますので併せてご覧ください。

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異業種で高利益を実現した町工場の事例

町工場の中には既存業界ではなく、異業界への提案や新規開拓で高利益を実現することに成功する企業が増加しています。

これらの成功を掴んだ町工場は特別なことはしておらず、どの企業でもできる新規開拓でひたむきに異業界に対して提案を行った結果、高利益の取引を実現することに成功しているのです。

高利益な商売はどの町工場でも可能であり、大切なことは「異業界への新規開拓」に取り組むことです。

ここでは実際の町工場の事例を解説します。

トラック架装で仕上げにこだわることで高利益実現

株式会社曽我製作所様は既存のトラック業界への1社依存を脱するため、異業界への新規開拓を行い、5つの異なる業界での取引を生み出し、いずれも高利益な取引を成功させています。

従来はトラックメーカー向けの部品供給のみを行っていましたが、以下の4つの業界への新規提案を行うことで異業界の顧客5社を手に入れました。

  • トラック架装
  • 設計事務所
  • 電材
  • フォークリフト

いずれも業界も「サプライヤー不足」に課題を抱えており、調達先が少ないが故に長すぎるリードタイムや無駄の多い調達価格での購買活動を行っていました。

自社が既存顧客に当たり前のように納入していたのは、「サプライヤー不足を抱えるメーカー」にとっては当たり前でなく、大変価値の高い提案で、短納期と適正価格での部品供給によって高利益を実現することに成功しています。

特にトラック架装の業界では関東圏内で精度の高いSUSの研磨仕上げができるサプライヤーが皆無だったこともあり、自社で研磨技術を高めて、提案することで著しい高利益を実現することに成功しています。

このように既存業界では実現できないような高利益が異業界では実現可能であり、自社にとっての当たり前の加工や単価は異業界では全く別の価値を生み、その対価として高い利益率を獲得できるのです。

このように町工場自身も常に同じ市場だけで井の中の蛙になるのでなく、違う市場の味見をすると予想以上に自社にとって価値がある市場であるという発見を得ることができるのです。

曽我製作所様の事例に関して詳しく知りたい方は以下の導入事例動画をご覧ください。

株式会社曽我製作所様がどのように4つの異業界を開拓したのかその方法や詳しい手段を知りたいという方は以下の記事で詳細まで解説していますのでぜひチェックしてみてください。

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まとめ:高利益を実現したい町工場は今すぐに異業界へ提案せよ

この記事では高利益が欲しい町工場は今すぐに異業界を新規開拓すべき理由と既存業界では高利益を実現できない理由を解説してきました。

町工場が高利益を既存業界で実現するのは過去からの取引の関係や加工単価がバレている点、そもそも業界が成長しないの背景から不可能と断言できます。

しかし、異業界であれば、何の制約もなく、かつ既存業界で培った技術や当たり前に行う加工が付加価値の高いものである場合には高利益を実現することが可能です。

町工場は既存業界に固執する必要はなく、もっと自由に様々な業界の仕事を見て、自社に最適な業界を見つけ出すことが重要であり、そのために継続した新規開拓活動が必要です。

とはいえ、これまで営業をしたことがない、営業できる人材がいないという町工場が大半かと思います。

弊社は日本で唯一、金属加工業の新規開拓を丸投げで支援する営業支援サービス「AnySales」を提供し、日本全国の町工場の新規顧客開拓を支援しております。

「新規開拓したいけど営業できる人材がいない」「自分の時間をかけることなく新規顧客を見つけたい」などの悩みを抱える企業様はぜひ資料請求にてサービス内容をご確認ください。

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