高利益を実現したい町工場は設計担当を狙え!設計部が狙う理由とは?

高利益の受注かつ相見積で価格競争なしで受注をしたいなら購買部でなく、設計部と関係を作るべきであり、設計部との関係が作れると町工場は驚くほど自由な取引が実現できます。

基本的に町工場はメーカーの購買部と見積や発注のやりとりをするのが普通ですが、儲かっている町工場は購買部はもちろんですが、そもそも部品図を作成している設計部との関係作りを怠りません。

町工場は設計部と関係を作ることができれば、以下の大きなメリットを享受できます。

  • 図面に会社名を入れてもらい指名受注を獲得できる
  • 新規設計案件に1番乗りできる
  • 相見積にならず高利益が期待できる

購買部とやりとりをするのが当たり前ですが、もっとメーカーに入り込みたい、仕事を待つのではなく設計段階から入り込んで付加価値の高いサプライヤーになりたいという方は迷わず、設計部との関係を作るべきです。

目次

町工場が設計部に関わるべき3つの理由

町工場が設計部に積極的に関わるべき理由は3つ存在し、いずれも町工場が他のサプライヤーよりも優先して、安定的に仕事を獲得できるようになります。

他の既存サプライヤーよりも優先して新規開発案件や量産登録時に提案ができる「ファストパス」がもらえるイメージです。

他のサプライヤーが列に並んで仕事が降りてくるのを待っている中で、あなただけは優先して誰よりも早く案件に携わることができるのです。

ここでは設計部に関わるべき3つの理由を解説します。

指名発注がもらえる

購買部を飛び越えて、設計部に関わることができれば、図面に会社名を入れてもらうことが可能で、新規開発案件が試作、量産段階になると他のサプライヤーを検討せず、指名発注を受けることが可能です。

設計部から購買部に降りてきて、町工場に連絡が入る図面というのは制作先が決まっていない状態なので、既存サプライヤー全てに見積依頼を出して、価格競争の後に制作先を策定するので必然的に価格競争に陥ります。

要は設計段階でどの町工場も技術検討や試作検討に入り込んでいないので、設計部からすると「どこかできる会社に頼んどいて」という形の担当者のいない仕事です。

しかし、開発段階から設計部とやりとりする関係が実現できていると、「どこかできる会社に頼んどいて」から「〇〇会社でこれは制作依頼して」という指名発注を受けることが可能になります。

要は設計部では常に新規製品やマイナーチェンジの新しい設計案が生み出されていますが、設計する際に現場の技術的な知見や加工する際の難易度までは流石に設計部もイメージすることができないのです。

そのため「どうすれば加工しやすく、コストが落ちるのか」「この加工ができるのか否か」という観点で、町工場からの助言を求めており、設計部は実は町工場ともっと関わりを持って、現場の声を設計に反映をしたいという強い思いがあるのです。

そのため、購買部を超えて、設計部に技術提案や設計部の疑問に回答してくれる技術サポーターのような立場になってくれる町工場は他のサプライヤーよりも優先して信頼を抱く構図なのです。

そして、設計段階から技術相談や最適な加工のアイディアを出してくれる町工場には必然的にその開発案件の制作をアドバイスをくれた町工場に依頼するという指名発注が生まれ、設計段階の図面に会社名を入れてもらえるのです。

図面に会社名が入っているので相見積なしで仕事を優先的に獲得できるのは町工場にとってメリットしかないはずです。

新規案件に1番乗りで自社が加工しやすい設計に

設計部と関わることができれば、常に新しい設計案件に1番乗りすることができ、自社が段取りしやすい設計を提案することができます。

通常の設計案件は既に設計部が独自で設計を完了させた図面が購買部を経て、既存の町工場に一斉に見積依頼が出されるため、どの町工場もヨーイドンで案件に見積をすることになり、価格競争が始まってしまいます。

仮に見積依頼の段階で図面の設計に対してもっと良い設計や安く作れるアイディアがあっても既に設計承認が降りているので、今更図面を変更することはできないのです。

しかし、設計部と関係ができていれば、新しく設計部で生まれた設計案件に他のサプライヤーを差し置いて、1番乗りすることが可能で、設計段階から制作アイディアが出せるので自社に加工しやすい設計を提案すること可能です。

自社にとって加工しやすいアイディアを出してばかりで良いのか?と思う方もいますが、加工しやすくなれば結果として制作コストが落ちるので設計部にとっても町工場にとってもいWIN-WINの関係になるので全く問題ないのです。

設計部と関われば、直接的に次の案件の詳細情報が知れるので、もう購買部の当てにならない「そろそろ出る」「次が出るよ」という言葉に惑わされる必要はなくなります。

高利益が期待できる

設計段階からメーカーのモノづくりに入り込むことができれば、町工場は購買部から仕事をもらうよりも遥かに現場の段取りが少なく、かかる手間を最小限にした受注が可能です。

いつものように購買部から仕事をもらうのは決して悪いことではありませんが、購買部は必ず複数のサプライヤーに見積依頼を出すので、どうしても価格競争が起きてしまいます。

しかし、設計部に入り込み、新規案件の設計段階から入り込めば、自社で加工する際に最適な形に設計提案が可能かつ、設計部の要件を聞きながら、仕事ができるので、設計部の要望を満たしつつ、現場に最も手間がかからない設計を創造できます。

現場でかかる手間が最小限で手間のかかる加工が設計段階から考慮されている仕事であれば、自ずと町工場側で負担する原価を下げることができます。

設計部は自社の求める設計仕様を満たしかつ、町工場が作りやすい設計を手にし、かつ町工場側も段取りにかかる手間が最小限の案件なので、利益をしっかり残しつつ、メーカーへ価格メリットを提示することが可能です。

価格メリットだけでなく、ポカが出にくい設計思想や品質不良が仕組みで出ないような設計であれば、設計部然り購買部にもメリットがあるので、多少価格が高くても、設計提案という付加価値を感じてもらうことができます。

安く作るのはどの町工場でもできますが、設計部に技術提案ができる町工場は一握りであり、付加価値をつけることができれば高利益の獲得は容易です。

設計部が求めている町工場の特徴

町工場の多くの方は設計部が実際にどのような町工場を求めているのか気になりませんか。

よく設計部と関われるのは「最新の設備を持っている会社」「どこにもない技術の会社だけ」と感じる町工場が多いのですが、設計部が求めているのはシンプルでどれだけ寄り添ってくれるかです。

最新の設備も特別な技術も不要ですので、どんな町工場でもすぐに設計部との関係を気づくことができます。

ここでは設計部が魅力に感じる町工場の特徴を解説します。

VE提案をしてくれる

設計部の出す図面に対して常に加工しやすさや安定的な品質を目的としたVE提案をしてくれる町工場は大変重宝されます。

設計部は社内に存在する設計思想を前提に製品設計をしますが、メーカーの設計思想の大半は過去時代から変化することが少なく、意味もなく厚い板厚を使ったり、高価な材料を活用したり、無駄に溶接が多いなど古い考え方が残っています。

かつ、設計部は社外の製品や設計思想に触れる機会が極端に少ないので、他の業界や企業がどのような設計をしているかを知ることができないのです。

設計部はどうしても井の中の蛙になりがちですが、そんな中で色々な業界のモノづくりを理解し、常に原価削減のために努力している町工場がもっと安く、早く、安定品質で作れるアイディアを持ち込んでくれるのは本当に付加価値が高いのです。

VE提案をしてくれる町工場は自分たちが手にすることができない、外部の貴重なモノづくりの知恵を設計にもたらしてくれるので、喉から手が出るほど身近におきたい存在になります。

VE提案と聞くと、設計を覆す革新的な提案をすべきと身構える町工場が多いのですが、実情は「溶接方法を変える」「材質を変える」「曲げ方を変える」などシンプルな提案ばかりで、このシンプルな提案だけでも設計部はハッピーなのです。

現場での試作相談に乗ってくれる

設計担当が抱えている設計課題を実際に試作しながら、膝と膝を突き合わせて、一緒に解決してくれる町工場を設計部は求めています。

最近はどのメーカーの設計部に会っても、悩みは同じで「昔のように現場で一緒に試作してくれる町工場が減った」「気軽に工場に足を運べる町工場がいなくなった」の2つです。

メーカーの設計部はモノづくりの現場で本当に正しい設計を見つけたいと考える前向きな設計担当がいるにも関わらず、現場の町工場側で設計担当を受け入れてくれて、一緒に悩んでくれる工場がどんどん減っているのです。

気軽に相談できる町工場が減ったというのは工場側での人手不足や既存の仕事を回すので手一杯で設計の相談を受けられないという事情があるので仕方ないと思いますが、町工場は大きなチャンスロスをしています。

設計部が気軽に相談できるというポジションをサプライヤーの中で獲得できれば、必然的に相談を受ける開発案件はどんどん増えて、図面に名前を入れてもらって指名購買を受けるチャンスができます。

現場に来てもらって、試作相談を受けるというのは一定の手間と時間がかかりますが、この設計部と一緒に考える時間が長ければ長いほど信頼関係が構築され、いつでも頼られるようになれば自然と仕事は増えていきます。

設計担当と関係を作りたいのであれば、まずは「いつでも相談できる町工場」と思ってもらえるように積極的に工場見学を案内をし、「工場に来る際には困っている図面も持ってきてください」の一言で、設計部の印象は大きく変わることでしょう。

既存業務が忙しくてなかなか、新しい取り組みができない、メーカーとの関係構築に時間を割けないという町工場は以下の記事で時間作りの方法をまとめていますので、ぜひご覧ください。

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レスポンスが早い

設計部は見積依頼や技術相談に関する回答レスポンスが早い町工場を好みます。

多くの設計案件は様々な部品の集合体であり、設計部はそれぞれの原価の足し算で目標原価に近づけていく作業を行なっており、部材の1つ1つの単価回答が遅いと全ての進行が遅延してしまいます。

設計部然り、購買部も頭を抱えているのが、既存サプライヤーのレスポンスが遅すぎる点で、見積依頼をしても1週間は返ってこない、回答期日は普通に破るなど町工場は既存業務が忙しいのかレスポンスの悪さが目立っているのです。

見積依頼や技術相談にすぐに回答するのはどんな町工場でもできることなので、他の既存サプライヤーのレスポンスが悪い中でなら、ただ回答を早く返すだけであなたの工場は設計部から求められる存在になれるのです。

レスポンスが遅いのは既存業務が忙しく、すぐに返せないからという町工場さんが多いですが、既存業務を効率化して、時間を作ることさえ、できれば今よりもっといい条件で新しい仕事を取れるようになるので忙しいを言い訳にしてはいけません。

廃業や人手不足で今まで当たり前であった迅速な見積回答や技術質問への回答が町工場ができなくなり、メーカーの設計部も購買部も大きな悩みを抱えている状況こそ町工場は新規開拓がしやすい環境なのです。

新規開拓することを考えている町工場は以下の記事もぜひご覧ください。

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設計部へのアプローチ方法

町工場が設計部にアプローチする方法は実はシンプルで、難しいことは何1つありません。

既に納入実績のある顧客であれば、まず断られることはありませんし、通常のメーカーは製品ごとに設計者のハンコが図面に捺印されているので、図面を見れば誰が設計したかはすぐにわかります。

取引実績があるのであれば、素直に購買部に依頼して、繋いでもらうのも全く問題ありません。

ここでは皆さんが知りたいであろう新規開拓をする際に設計部につながる方法を解説いたします。

STEP1:購買部に図面へのVE提案を列挙

最初のステップでは頂いた図面を確認し、VE提案する内容を箇条書きでまとめて提出し、自社がVE提案する準備ができていることを提案します。

この時、絶対に口頭でVE提案の内容を電話や直接対面で伝えると設計部にお会いするチャンスを逃してしまうので必ず箇条書きでまとめた内容は図面に記載する or A41枚にまとめてメールで伝えてください

口頭や電話では購買部が忙しくて、設計部に伝え漏れてしまう、VE提案の内容をしっかり理解できず、設計部に伝えきれない事態が発生してしまいます。

上記のトラブルを避けるため、できるだけ図面に記載する or 紙にまとめることで購買担当がそのまま設計部に送付できるようにするのがお勧めです。

図面に書く際や紙にまとめる場合はVE提案の内容だけでなく、VE提案を実施するとどれくらい加工の手間が減るかも明記するとよりわかりやすくなります。

STEP2:図面記載の設計担当を確認

VE提案が用意できたら、すぐに購買部に連絡するのはNGで、事前にVE提案する図面の設計担当を特定する必要があります。

大半の図面には承認者、検査者、設計者の順番で担当者のハンコが押されていますので、設計担当の特定は容易です。

もしも図面に書いていない場合は、購買担当に「この図面番号の設計担当はわかりますか?」と図面番号から検索をしてもらい設計担当を特定してもらうのが最適です。

設計担当の名前が特定できたら、いよいよ購買部に連絡先を確認しましょう。

なぜ、設計担当を特定してから購買部に聞くかというと、購買部もめんどくさがりなので、この設計が誰で連絡先も教えてになると、めんどくさくなり後回しにされてしまうからです。

購買担当も忙しいので、調べてもらう際にできるだけ楽に調べてもらう環境を作るのが購買部に動いてもらうために重要です。

設計担当の連絡先を確認する場合は必ずメールアドレスを聞くことを忘れないでください。

メールアドレスさえあれば、STEP1で用意したVE提案の内容を町工場側から直接送付することでき、絶対に具体的な話に繋がるからです。

STEP3:設計提案をメール送付&後追い電話

設計担当名前と連絡先を特定できたら、いよいよ連絡するのですが、順番は必ず、メールを送ってその後に電話する流れを徹底してください。

必ず順番はメールが先でその後に電話で、この順番を逆にすると設計部とのアポや次の逃れを組むことができなくなりますので注意です。

まずメールでVE提案の図面もしくはA4にまとめた資料を添付してメールを送るのですが、この際にはシンプルに自己紹介と図面番号の製品に提案したい旨を記載し、詳細は添付ファイルに記載しておりますという内容で十分です。

大事なのはメールを送付した後の電話で電話では以下の内容を確認する必要があります。

  • VE提案内容を確認したか確認
  • VE提案内容にメリットを感じるか
  • 詳細に関して打ち合わせの機会を決める

まずはVE提案見たか見てないかを確認することが前提で、見ていないのであれば、必ず電話をしながら確認してもらいメリットを感じたかの確認と質問がないかの確認をしてください。

設計部はVE提案は喉から手が出るほど欲しいものなので、興味を示さないことはないので、必ず以下の言葉を伝えアポを取りましょう。

「紙だけ見てもイメージしづらいと思うので試作を作った上で議論の時間をいただけませんでしょうか?」

この言葉で設計部はVE提案の製品を見れる+その製品を部長に上申できるのでまさに一石二鳥の提案を町工場がしてくれるので断る理由が1つもないのです。

以下の記事では設計部の他に購買部の実態を解説していますので、購買部に関してもよく知りたいという町工場は合わせてご覧ください。

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まとめ:町工場は設計部から仕事を作る仕組みを構築せよ

この記事では高利益を実現したい町工場が設計部を狙う理由と設計部の課題、アプローチ方法まで解説しました。

ほとんどの町工場は購買部から仕事をもらうのが一般的で、設計部と関係ができている町工場はほとんどいないはずですが、設計部との関係ができると町工場にはメリットしかありません。

ただ、購買部から既に設計が終わった製品をもらうのでなく、1歩先に進んで、設計段階から入り込んで、価格競争を受けずに仕事を指名発注を受ける関係こそ町工場にとって最適なメーカーとの関係になのです。

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