工場経営で「待ち」続けたら工場が潰れるのは避けられない理由とは?

取引先が減った、仕事量が減ったなどのマイナスの変化が起きても、何も行動せずに、誰かが変えてくれるのを待つ「待ち工場」を続けると工場は潰れる未来しかありません。

時代の変化と共に町工場の環境は大きく変化し、多くの町工場では「仕事が減った」「内製化で引き上げられた」「海外に転注」されたなど経営に悪影響を及ぼす事態が発生しているかと思います。

そんな中で本来は失った仕事に代わる新しい仕事を見つけなければならないのに、行動をせずにひたすら仕事が来るのを待ち続ける「待ち工場」が多く見受けられます。

新規開拓もせず、新しいお客と出会う機会を自ら作ろうとせずにただ待ち続ける、誰かが状況を変えてくれると他力本願な状態で時間を使う町工場に明るい未来はなく、むしろ廃業に進む暗い道しかありません。

この記事では工場経営で「待ち」を続けたら工場が潰れるのは避けられない理由を解説します。

目次

待っても手を差し伸べてくれません

町工場は状況が良くなるのを何もせずに待っていても誰も手を差し伸べてくれないことを自覚してください。

残念ですが、行動をせず、ただ目の前の仕事だけこなしていても決して町工場の経営が良くなる状況には絶対になりません。

ここではただ状況が良くなるのを待っていても誰も町工場に手を差し伸べてくれない理由を解説します。

行動しない工場に出会いはあり得ない

行動しない町工場に新しい出会いがないのは当然であり、新しい出会いがなければ、新しい仕事を手に入れることも不可能です。

当然のことですが、何も行動をしない工場には変化のきっかけや新たな取引先が現れることは絶対にありません。

しかし、なぜか新しい仕事が喉から手が出るほど欲しい町工場さんに限って自分から行動を起こさず、工場から出ないのです。

工場でなくても、人生で新しい刺激や変化が欲しければ、家で時間を過ごすのでなく外に出て、知らない人に出会ったり、コミュニティーに入ることで、新しい出会いが生まれ、その出会いから恋人や友人ができるはずです。

1日8時間、365日の間、ずっと工場に、社内で時間を過ごしていたら、新しい商売に繋がるような出会いなんて起きるはずないですよね。

工場の中に籠っていて、メーカーさんがいきなり「この仕事してください!」とそんな都合のいい話があるわけないのに、多くの町工場は社内に籠って、仕事が勝手に来るのを待ちぼうけています。

はっきりと断言しますが、行動をしない限り出会いは生まれません。これは確固たる事実です。

仕事が絶えず、常に新しい仕事をしている町工場の経営者は社内ではなく、常に外で動き回って新しい出会いを自ら見つけているのです。

待っていてもメーカーは助けてくれない

残念ながらどれだけ長い間メーカーと取引をして、成長を助けていたとしても、メーカーはサプライヤーの1社である町工場を助けるほど優しくはありませんし、メーカーも自社が1番大事なのです。

「耐えて、我慢する時期だ」「いずれメーカーがなんとかしてくれる」こんな言葉をおっしゃる経営者の方がいますが、これは全部間違いであり、思い込みでもうメーカーは「なんとかできない」「自社で精一杯」なのです。

昭和の時代は日本の高度経済成長期で仕事が溢れ、メーカーもサプライヤーを守る意識がありましたが、少子高齢化とどんどん低迷する日本経済、今後の経済成長が見込めない令和の時代ではサプライヤーを大切にする考えは存在しません。

「利益重視でコスト最優先」の考えがメーカーの中心でどれだけ昔から取引をしても、中国の単価が安ければ、仕事を引き上げて転注、受注が減って自社工場が空いてしまうなら、内製化を進めるのが当たり前の世の中です。

そんな中で仕事が減っても、値下げがどんどん進んでも行動をせずに黙って町工場が「耐えて待っていても」決してメーカーさんは助けてくれません。

悲しい現実ですが、もう「長年取引をしているから」「創業期から支えてきた」という言葉は通用しません。

なぜなら、メーカーの経営陣も刷新され、そんな昔のことなんて知りもしないし、見ているのは数字だけであり、昔を知る担当者はどんどん引退しているからです。

「耐えて、我慢する時期だ」「いずれメーカーがなんとかしてくれる」という考えは無駄ということを自覚してください

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待っていると貴重な時間が失われる

行動をせずにただ待っているだけの「待ち工場」を続けると、変化するために必要な貴重な時間をドブに捨てる羽目になります。

ただ口を開けて待っていることがどれだけ無駄であり、価値がないことだと気づくのが遅くなればなるほど、「待ち工場」から脱却するために必要な行動をするための時間が失われていきます。

「待ち工場のままではやばい!」と気づいたとしてもすぐに脱却ができるわけでは決してありません。

「自分たちで行動をする、新しい出会いを模索する、新規開拓をする」の変化を起こすには時間がかかり、1回行動したから成果が出るほど甘いものではなく、どうしても種をまいて、育てて収穫をする時間が必要になります。

よく「やばくなってから行動すればいい」「仕事がなくなったら始めよう」と安易なことを考える経営者の方もいますが、やばくなってから始めてももう手遅れなのです。

「何もせずに待つ」ということは「変化するための貴重な時間を捨てて」いると考えると、どれだけ何もせずに待つことが恐ろしいことか理解できるはずです。

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待ち工場に仕事が増えない残酷な現実

耳が痛い話ですが、待ち工場には残念ながら今後仕事が増えることはあり得ないのです。

日本経済の低迷、メーカーの受注減少、市場の縮小など仕事が増えない要素があまりにも多いのが日本のモノづくりの実情であり、同じことをしていても決して仕事は増えないのです。

ここでは待ち工場に仕事が増えない残酷な現実を解説します。

日本の経済成長はあり得ない

残念ですが、高度経済成長期のような経済成長が日本に起こる可能性は限りなく低いです。

もう日本は世界に誇れる国ではなく、2000年の時点ではG7の主要7カ国で1位のGDPを誇っていたのですが、2023年現在ではG7で最下位のGDPに転落し、まさにトップから最下位まで転落したのです。

引用:「たった23年でトップから最下位に。。G7で日本だけが経済成長できない2つの理由」から引用

しかも他の主要国がGDPが2倍まで経済成長しているのに、日本だけ23年間経済成長せずにむしろマイナス成長し、時間が経過しています。

もう日本は先進国ではなく、アジアの発展途上国だった国にすら追い抜かれるような残念な状況です。

23年間経済成長しておらず、今後も経済成長する要因が見えない国において、内需が増えて、メーカーの増産が止まらないような状況が発生する可能性は無いと言っても過言では無いはずです。

テレビや新聞を見ても、目にするのは「不正」「裏金」など本当にしょうもないことしかしない政府、誰もやりたがらない万博に無駄なお金をかけ続けるような状況では日本経済が盛り上がることはありません。

国内経済が盛り上がり、消費が増えれば、自然とメーカーは生産数が増えて、町工場に仕事が落ちてきますが、経済が盛り上がらないければ、メーカーも生産数を落とすしか無いので、町工場にも仕事が来ません。

これが現在の日本経済の状態であり、ただ待っているだけの町工場に仕事が増えない現実です。

メーカーは次々と内製化を実施

経済低迷が続き、受注が減り続けるメーカーが取る手段は自社工場を回す、利益を出すために町工場の仕事を引き上げて内製化することです。

町工場の取引先であるメーカーの経営陣は自社の従業員の雇用を守ることはもちりん、株主利益を確保するために景気が低迷する中でも利益を絶えず上げ続ける使命があります。

景気低迷で受注が減った、今のままでは利益が出ない、赤字になる、自社工場が遊んでしまうとなった場合に真っ先に行うのは「サプライヤーに出している仕事の引き上げ」である内製化です。

仕事が取れないのは顧客事情や市場に左右されるためどうしようもできない外部要因ですが、受注した仕事をどうやって生産するかはメーカーが意思決定できる内部要因であり、簡単に変更できます。

受注が減り、工場が暇な状態に限っては、サプライヤーである町工場に出すよりも内製化したほうが利益が残りますし、従業員を遊ばせるくらいなら外の仕事を引き上げて内部で生産して方が効率的です。

そうなると町工場の仕事は次々とメーカーが自社で生産してしまいますが、本来サプライヤーというのはメーカーが自社で生産できない非効率な部分や余剰分を生産する役割なので当然の結末ですが、町工場の売上は残念ながら減ります。

町工場の仕事が増えるのは景気が良く、メーカーの受注が増え続けるタイミングだけであり、景気が悪く、仕事量が少ない状況ではメーカーは自分で生産してしまうので、町工場に仕事が増えるのはあり得ないのです。

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市場がどんどん小さくなる

メーカーは市場縮小に合わせて、統廃合を繰り返しており、町工場が食べられる市場のパイはどんどん小さくなっているのです。

半導体メーカーの経営統合、トラックメーカーの日野と三菱ふそうの経営統合など、これまで同じ市場で競争をしてきたメーカーが次々と統合し、シェアの拡大に向けて動き出していますが、これはサプライヤーにとって大きな危機の始まりです。

その理由は経営合併が起こった場合、サプライヤーが2社分存在するのは余剰であり、一方で生産を担っていた町工場は不要となるためです。

経済が低迷し、消費が起こらなくなると生産が必然的に減少し、メーカー同士の間で価格競争が激化が始まります。

価格競争は資金力のある企業が有利な戦いなので、1人勝ちが発生し、価格競争に負けたメーカーはM&Aや倒産などで1社に統合されていきます。

そうなると、統合された新会社には合併された町工場の中で町工場の選別が始まり、選定から外れた町工場は明日からの仕事が全てなくなってしまうのです。

今まで100あった仕事が80、60、50とどんどん市場が小さくなるとその市場で町工場が手にできる仕事も比例して減少し、市場に限界が来ると合併と共に仕事がゼロになる町工場がどんどん増加するのです。

減り続ける市場のただ1つに依存し続けていると、もう町工場には仕事が増えるはおろか、仕事が時間の経過と共に失われる、ないしは価格がどんどん落ちて薄利が深刻化する状況に陥ります。

待ち工場から卒業するために必要なこと

待ち工場から卒業すべきためにすべきことは外の世界に向けて行動をすることだけです。

内向きに工場にいても、何も変化は生まれませんし、時間だけが過ぎ去っていきますが、外に目を向ければ、変化のきっかけはたくさん広がっています。

ここでは町工場が待ってばかりの待ち工場から卒業するための方法を解説します。

新規開拓を始める

待ち工場から脱するための1つは新しい顧客を見つけるための新規開拓を始めることです。

1つのメーカー、1つの業界に依存し続けるのは町工場にとって危険であり、いつ流れてくる仕事の蛇口が閉められるかという不安を抱いたまま、仕事をするのは精神的にも負担のはずです。

1つの蛇口から売上を作るのでなく、2本、3本と売上の柱が増えていけば、市場が小さくなっても複数に分散していれば、明日からの売上がゼロになることもありません。

また、新規開拓をすると今までの業界ではあり得ないような高利益に繋がったり、自社の技術がもっと広く提供できるチャンスに巡り合うこともできるチャンスが潜んでいます。

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新規開拓をする方法は主に2つありますが、いずれの方法を取っても間違いでは無いので自社に適切な方法で新規開拓を始めてましょう。

  • 自社でゼロから新規開拓をする
  • 外部の営業のプロに任せて新規開拓をする

前者は営業できる人材がいたり、ノウハウがある町工場におすすめですが、営業できる人材がいる町工場は珍しいため、本当に初めて営業をするのであれば後者の外部の営業のプロに任せるのがおすすめです。

以下の記事では町工場におすすめの金属加工に特化した営業代行を解説していますので合わせてご覧ください。

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ただし、アポだけ獲得するだけの営業代行には注意してください。このスタイルの営業代行を町工場が依頼すると大損することになりますので以下の記事で詳細をご確認ください。

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購買部を超えて設計部と繋がる

ゼロから新規開拓をするのはハードルが高いと思う町工場様は既存顧客であるメーカーの購買部の先にいる設計部と関係を作ることに挑戦してみてください。

町工場は購買部から仕事をもらうでなく、設計部から直接指名購買を受けることができれば、以下のメリットを得ることができます。

  1. 相見積なしで受注できる
  2. 新規設計に自社が加工しやすいか形で提案できる
  3. 新規案件に1番乗りができる

購買部からの注文というのは既に設計仕様が固まったものであり、設計から「この部材1番安いところで仕入れて」と購買部に依頼するだけであり、その瞬間に相見積となり、価格の叩き合いに町工場は身を投じる羽目になります。

しかし、設計部と繋がると、購買部に渡る前の設計段階から提案ができることに加え、購買部が相見積をすることなく、設計部が図面にあなたの町工場の名前を入れてくれるので相見積なしで新規案件を手にすることができます。

また、設計部は1度信頼をした町工場には「この先に出る新規設計案件の情報」を先に共有してくれるので、購買部の「今度忙しくなる」というあやふやな情報を左右されることもなくなります。

ゼロから顧客を作るのは大変ですが、既に関係のあるメーカーに入り込むのは比較的簡単ですので、新規開拓が難しいと感じる方はぜひ、取り組んでみてください。

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制作事例を情報発信する

営業をするのは億劫、まだ営業できる体制では無いのであれば、インスタグラムを活用して積極的に制作事例を発信することを心がけてください。

町工場でインスタグラムを活用する企業様も増えていますが、インスタグラムは町工場でも無料で取り組めるかつ、手間がそこまでかからないので制作事例を発信するツールとしては最適です。

発信すべき内容は自社で手掛けている製品を撮影し、投稿するだけです。

よく社内の風景を撮影している町工場様もいますが、これは投稿する必要はありません。

なぜなら、見て欲しい人はメーカーの購買部の人ですよね?その人はあなたの会社の日々の風景にはおそらく興味がなく、興味があるのは「どんな製品をどんな加工で生産しているのか」だけのはずです。

毎日、何らかの製品が生産されている町工場では「制作過程」「完成品の写真」をインスタグラムに投稿すれば、情報発信が完成します。

インスタグラムは営業する時に自社が何をしているかを説明するのに1番わかりやすいツールにもなるのでおすすめです!

以下の記事ではなぜインスタグラムでの制作事例が重要なのか、制作事例こそ購買部に提供すべき情報である理由を解説していますので合わせてご覧ください。

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まとめ:待っているだけの町工場は淘汰される!行動あるのみ

この記事では工場経営で「待ち」を続けたら工場が潰れるのは避けられない理由を解説してきましたが、待っていても工場は衰退の道しかないことに気づいていただけましたでしょうか。

ただ口を開けて待っていても状況は変わることは決してなく、変わるためには行動するしかありません。

待っていることが町工場にとってどれだけリスクがあり危険なことをしているかを自覚して上で、行動を開始してみてください。

待つをやめて、仕事を求めて行動すれば町工場の状況は必ず変わります。

とは言っても今まで営業をしたことがない町工場さんがゼロから営業をするのはとても大変であり、どうしていいかわからないはずです。

弊社は日本で唯一、金属加工業の新規開拓を丸投げで支援する営業支援サービス「AnySales」を提供し、日本全国の町工場の新規顧客開拓を支援しております。

「1社依存状態から抜け出したいけど、営業経験もなく営業担当もいない」「既存顧客の対応が忙しく、営業活動をする時間を捻出できない」という方はぜひ資料請求にてサービス内容をご確認ください。

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