町工場は何でもかんでも自社でやるな!抱え込むと成長が止まる理由

得意でない苦手なことも全て自社だけで取り組む町工場に待っているのは1つも改革が進まず、いつまでも変化が訪れない未来です。

実に多くの町工場が苦手なことであっても自社で解決することに固執して、抱え込んでしまうケースが非常に多いですが、抱え込み続ける限り、変化は訪れません。

多くの町工場は基本的に人不足で、社内の人材も言われたことをこなすことで精一杯な状態であり、新しいことに取り組めるようなスキルのある人材は存在しません。

また、十分に新しいことに取り組める時間も存在しないのが町工場の実情で、多くの場合は経営者が1人で抱え込むことが常です。

取り組んだこともない、どうすべきかわからない状態であり、捻出できる時間が少ない状態では新しいことは1つも進まず、かつ既存の仕事も止まるという最悪の結果につながります。

ここでは町工場が何でもかんでも自社で抱え込むと全てが止まってしまい、会社に変化が生まれない理由を解説します。

目次

改革が進まない町工場の特徴

外部環境の変化で危機感は常に感じていて、何かしないといけないと考えているが改革が進まない町工場には共通点が存在します。

改革が進まない町工場はそもそも改革が絶対に進まない取り組み方をしているのが問題です。

どんなに熱意があって、意欲があっても取り組み方を間違えていては、改革は進みません。

ここでは改革が進まない町工場の特徴を解説します。

自社だけで解決しようとする

本当に多くの町工場が得意でもない、やったこともない、できる人材もいないのに、なぜか自社だけで新しい取り組みや改革を実現させようとしているのです。

わかりやすい例は「補助金活用」で以下のような状態の町工場が多いです。

  1. どの補助金が自社に最適かわからない。
  2. 補助金申請の書き方がわからない
  3. 申請書で採択される書き方を調べてばかりで一向に進まない
  4. 社内に補助金に関して聞ける人がいないの

多くの町工場が補助金を活用して新しい設備を導入したいのに、「補助金を申請できない」「苦労して申請しても1つも採択されない」の問題を抱えているのです。

町工場では苦労して自社で全て取り組むことが大事だと思われがちですが、目的である補助金に採択されなければ、取り組んだ時間も労力も全て無駄で何の意味もありません。

ただでさえ、時間がない中で貴重な時間を苦手なことに浪費する時間は町工場にとって最大の過ちです。

補助金申請が得意な従業員は町工場にいるはずがなく、ノウハウもない中でやったこともない補助金申請に自社で苦労して取り組むより、外部の補助金に精通したプロに全て任せる方がはるかに効率的です。

しかし、多くの町工場は自社でやろうとしますが、苦手なことに取り組む時間、調べる時間など見えないコストが多大にかかること、そして取り組んでいる間に他の仕事が止まることのリスクを考えていないのです。

適任な人材なしで社長が片手間で

残念ながら町工場には取り組んだことがないことに自分で解決策を見つけられる能力を持った人材はいないので、ただでさえ忙しい社長が片手間で対応しているケースがほとんどです。

町工場には社長が一言指示を出すだけで指示を完璧にこなして、会社の変革の一助となるような仕事ができる人材は残念ながら給料や環境の問題で存在しません。

そのため、経営、営業、現場管理など色々な仕事を抱える社長が片手間で取り組んでいるのです。

社長が常にデスクにいて、8時間の時間を新しい改革に使えるなら話は別ですが、基本的に町工場の社長はデスクでなく、現場にいるはずです。

デスクにいれるのは定時が過ぎた夜間であり、その時間も見積回答などに回す必要があり、片手間で新しいことに着手する時間はほとんどないのです。

本来は社長は現場に缶詰でなく、新しいアイディアを考えたり、アイディアを形にするために外で奔走すべきが、町工場ではそれができる会社はほんの一握りです。

本来は社長の右腕のような存在が社長のアイディアを形にするのですが、右腕となりえる存在も不在のため、社長が片手間で空いた時間で本当に少しずつ進める状態なのです。

他の仕事が優先で改革が全く進まない

町工場の大半が陥るのはアイディアが思いついても、既存の仕事を優先するため、後回しになってしまい、やりたいのに思うように進められない、手が回らない状態で全く改革が進まないという点です。

基本的に町工場では新しいこと、改革をするには全て社長が仕組みや従業員ができるレベルまでは自分で最後までやる必要がありますが、既存の仕事を優先する必要があるので、いつまで経っても物事が進まないのです。

1日8時間の限られた時間で町工場の社長は顧客対応から材料調達、納期調整、生産管理まで全て1人で担う必要があり、いずれの仕事も疎かにすると、既存顧客との信頼関係に影響するため、優先に対処する必要があります。

そのため、新しいアイディアの優先順位は後回しになるので、少しずつしか取り組むことができなくなります。

少しずつ取り組んでいると、どんどん時間ばかり過ぎてしまい、更に優先度の高い仕事が出た場合にはいつの間にか忘れ去られてしまい、結果的に実現することなく消え去るなんてこともあります。

町工場の社長は自身がやらなきゃいけない仕事をこなした上で、更に新しいことをするという仕事の仕方には限界があるのです。

多くの町工場では「やらなきゃいけない」「やりたい」と感じることは常にあるが、他の仕事をこなすあまりそれらの会社を変革する重要なアイディアが手付かずで埋もれてしまっているのが実態です。

町工場が自社だけで無理に進めると起こる問題

町工場が苦手なことを無理に自社だけで進めると、待っているのは「損」「無駄」「間違い」の3つのデメリットです。

多くの町工場では苦手なこと、自社に有識者がいない状態でも自社内で無理やり進めるケースが多いですが、これは大半の場合でうまくいきません。

なぜなら誰も正しい道や答え、方法を知らずに取り組むため振り返ると3つの大きなデメリットを会社にもたらしているケースがあるためです。

ここでは町工場が得意でないことを無理に自社だけで進めた場合の3つのデメリットを解説します。

誰も答えを知らないので暗中模索

苦手なことを町工場が自社で進めると、ただでさえ時間がない中で多大な時間を答えを見つけるために費やす必要があります。

答えを持つ人が誰もいないので、自社にとって最適なツールや手段を見つけるために何も分からない状態で様々な情報を調べる時間を捻出することになります。

例えば、あなたが町工場の社長で「ペーパーレス」を実現したいと考えた時、以下のような疑問を解決するために調査をするはずです。

  • どんなツールがある
  • ツールごとの特徴は?
  • ツールの評価は?
  • ツールの事例は?

これらの導入候補の基本情報を調べる時間が必要となり、次に導入するための調査が必要です。

  • 導入コストは?
  • 導入したらどこまでできる?
  • 工場に導入する人は?
  • どのような機能が必要

こんな調査を限られた時間だけで行ったら、平気で調査だけで1ヶ月以上、時間がかかってしまいますし、知識がないので、ゼロから専門用語などを調べると更に時間がかかります。

この暗中模索の調査を行う間、他の仕事は止める必要があり、他の仕事には手がつけられない時間が生まれてしまいます。

もしも、自社で全てやろうとせずに外部のプロに聞いたら、以下の回答だけで済みます。

  • 最適なツールは〇〇です!

プロに聞けば、多めに見ても1時間あれば、解決する問題なのに無理やり自社で全てやろうとすると、多大な時間を答えを見つけるために捻出する必要があり、「時間の無駄」が発生します。

誰にも聞けないので正しいか分からない

自社で無理やり進めると、社内で誰にも意見を聞けず、誰も話に乗っかってくれないので孤独な中で判断をするために間違いに気づくことができないのです。

町工場では社長が思いついたアイディアを従業員に話しても返ってくるのは以下のような回答です。

  • 社長が決めたならいいと思います
  • ちょっとよく分からないです
  • いいんじゃないですか

経営者は孤独という言葉がありますが、町工場では特に社長と同じ目線で考えてくれる従業員がいないので、常に孤独な中で物事を判断する必要があります。

仮に、従業員の仕事を効率化するツールの導入を検討しているとしましょう。

本来はツールを実際に使う現場の従業員の声が聞きたい、意見を反映したいのに以下のような回答が返ってきます。

  • 分からないのでどれでもいいです
  • 社長が決めればいいじゃないですか

アイディアに対して、上記のように従業員が意見をくれない、乗っかってくれないと社長は孤独に自分自身の考えで判断をすることになります。

現場の意見を求めたが、意見を出さず、社長が独断で決定したツールを入れた後に以下のような「間違い」が起こるのです。

  • こんなの現場で使いにくい
  • これじゃ仕事が回らないよ
  • このツールじゃ仕事できない

本来は社内の全員が意見を出し合って作り上げる改革も社長と同じ視座で物事を考えてくれる人材がいないため、ツールを選ぶ際の「間違い」が起こり、その選ぶ間の時間も間違いで「無駄」になるのです。

間違った判断で損をする

町工場が自社で無理やり進めることで、間違った判断をしてしまい「お金」「時間」の2つで大きな損を被ることです。

やったこともない、苦手なことに無理に取り組むことによって、町工場はついつい誤った判断をしてしまいます。

例えば、新規開拓に取り組もうとしたところ、全く成果の出ないような業者に依頼をしてしまい、「お金」を損するのはもちろん、同時に「意味のない新規開拓に自身の時間を費やしてしまう」という時間の無駄が生まれます。

ITツールに置き換えても、ITツールの「利用料」のお金の面で損を被り、必死になって現場に導入しても全く使ってもらえない「導入時間」の無駄などが間違った判断が原因で町工場に損を与えます。

このように苦手なことに自社で無理やり取り組んでもいいことは1つもありません。

やったこともない、得意な人間もいない状態であっても、自社で頑張って進めるのは悪いことではありませんが、結果が伴うかという観点で見ると全く意味のない取り組みなのです。

限られた時間、限られた人材しかいない町工場では1つも無駄なことに時間を割く余裕はないはずです。

間違った判断で「お金」と「時間」で損をするくらいなら最初から外部に任せた方がはるかに得をするのです。

以下の記事では経営が「楽」な町工場の特徴と実際に取り組んでいる内容を解説していますので気になる方は合わせてチェックしてみてください。

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経営者が抱え込むと起きる問題

町工場が苦手なことを抱え込むのは経営者が自身の仕事を増やして抱え込むであり、抱え込んだ先に待っているのは会社の信用の失墜です。

ここでは経営者が何でもかんでも抱え込むと町工場に起きる問題を解説します。

既存顧客対応が疎かになる

社長が抱え込んで、1番早く悪影響が出るのは顧客対応であり、既存顧客の対応が後回しになることです。

町工場の社長が抱え込むと真っ先に影響が出るのは常日頃から仕事をもらう既存顧客からの依頼に対するレスポンスが悪くなってしまいます。

既存顧客は取引がある兼ね合いで細かいコミュニケーションが必要になる仕事が多いはずです。

  • 見積依頼
  • 設計相談
  • 納期調整

特に見積依頼に関しては1番わかりやすい指標で、社長が仕事を抱え込んでいる町工場ほど、「見積回答が遅い」のです。

見積回答は早いに越したことはないのですが、普通は1日で返ってくるような簡単な見積でも3日かかる、催促の連絡をしないと見積もりがいつまでも返ってこないような状況は抱え込みすぎの合図です。

「社長が外出している」「社長が現場なんです」が見積が遅い町工場の共通の言い分ですが、見積が来ないと既存顧客も仕事が進まないので、信用を失う原因にもなります。

また、社長が抱え込んでいる仕事に対処するため、外出機会が増えて現場から離れると、製品の品質不良が続出する問題も発生するのです。

既存顧客は町工場にとって経営を支える売上の柱であるはずですが、社長が抱え込みを増やすほど、大事な顧客からの信用を少しずつ失っているのです。

社長が体調を崩す

町工場の経営者も従業員と同じ人間であり、無理をし続ければ限界が訪れ、体調を崩す結果に陥り、会社全体がストップすることに繋がります。

経営者が体調を崩すことは、町工場にとって最も避けなければならない事態の1つです。

町工場の経営者は顧客対応、現場での作業、生産管理などあらゆる仕事を担っており、その経営者が体調を崩して会社を休むというのは町工場の機能が全て止まるを意味しています。

  • 顧客から見積催促が来ても誰も答えられない
  • 製品納期を顧客に回答できない
  • 材料が入ってこない
  • 工場を回せずに止まってしまう

経営者が体調を崩すと上記のような問題が一気に奮発してしまいます。

顧客側からすると、経営者が体調を崩して工場が回らない事情など関係なく、約束通り製品を収められない場合はリスクのあるサプライヤーとして捉え転注を考える原因にもなります。

社長が抱え込みすぎて体調を崩すのは町工場が最も避けないといけない事態なのです。

顧客からの信頼を失う

経営者が抱え込みで既存顧客対応が疎かになる、体調を崩すなどが発生すると顧客からの信用失墜に繋がります。

大手メーカーは現在、高齢化したサプライヤーの廃業に敏感ですが、同時に社長が全てを回している町工場に対しても強いリスクを抱いており、良いサプライヤーがあれば、若い町工場であっても転注されるケースが増えています。

見積回答が遅いは依頼された町工場からすると他の仕事もあるので仕方のないことかもしれませんが、見積回答が遅いという事実はその先のメーカーや発注主は常にストレスを与えています。

簡単な見積依頼を出しても「社長がいない」「現場に出てる」などを理由に何日も待たされるのが続く、他の工場でどこでもできる製品であるなら、もう他で依頼しようという考え方をするのが自然です。

また、社長が体調を崩して、連絡が取れない、納期が遅れる、品質トラブルが頻発するのであれば、調達リスクのある取引先として捉えられてしまいます。

信頼関係は1度失ってしまうと、元に戻すことは極めて難しいものであり、町工場の社長の抱え込みは顧客との信頼関係を壊す原因にもなるのです。

以下の記事では町工場の経営者が抱え込むことがNGである理由を詳細まで解説していますので気になる方は合わせてチェックしてみてください。

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まとめ:苦手なことを抱え込むと町工場の成長は止まる

この記事では町工場は何でもかんでも自社で抱え込むと成長が止まる理由に関して解説をしてきました。

自社で全て一貫して進めることは良いことですが、人材がいない、時間も限れている町工場は抱え込んでしまって少しも前に進まない状況は会社の成長を阻害してしまいます。

また経営者が抱え込んでしまうことは会社の成長を止めるだけでなく、大事な既存顧客からの信用失墜に繋がるので、町工場の経営者は全てを抱え込んではいけません。

重要なのは自社でやるべきでないことは外部にプロに任せて、限りある時間を有効活用することです。

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