相見積で価格を下げあって、受注しても利益が残らないような仕事を取りたくない、価格競争に巻き込まれたくない町工場は仕事を待っているのでなく、今すぐに異業種に新規開拓をすべきです。
Twitterでよくあるツイートで「見積してもいつも決まらない」「競合との価格の叩き合いにうんざり」という声をあげる町工場の方をよくお見受けします。
既存顧客の中で新しい仕事が出るのは珍しいですが、その新規の仕事は基本的に全てのサプライヤーに見積依頼が出されてしまうため、基本的に数社の間での価格競争が発生してしまうので、必然的に相見積は避けられません。
仕事がなくて困っている町工場は口を開けて既存顧客からの仕事を待っていても、十分に利益が見込める仕事は手に入らないことに気づいてください。
口を開けて仕事を待っている町工場はごまんといるので、その中にいてはいつまでも価格の叩き合いで薄利しか生まれません。
だけど、1つだけ相見積や価格競争がない世界が存在し、それが異業種への新規開拓になります。
この記事では価格競争を避けたい町工場は今すぐに異業種を新規開拓すべき理由を解説すると共に価格競争ばかりしている町工場に訪れる最悪の未来を解説します。
価格競争したら町工場は終わり
「受注できるなら価格は安くていい」と受注しようと他の町工場との価格競争を続けて、薄利の商売を続ける町工場にはいずれ限界が訪れ、工場を畳む未来が待っています。
町工場において、利益こそが会社の原動力であり、この利益というガソリンがなければ町工場は新しいことができず、どんどん老朽化し、いずれ限界がきて会社が回らなくなります。
ここでは価格競争を続けると町工場が終わりを迎える背景を解説します。
安く仕事を受けると地獄の始まり
実は「安く作ります」と言えば、どんな町工場でもメーカーから仕事を取ることができますが、この値段を下げて薄利の安請け合いすると町工場は地獄に向かって走り出してしまいます。
人材不足や高齢化による廃業が多い世の中ではメーカーは昔のようにサプライヤーを選ぶことはできないので、昔と比べると新規サプライヤーとして仕事を取る難易度は下がってます。
「安く作れます」「今の価格よりも下げます」と言えば喜んで仕事を出してくれる購買部は多いですが、これは「技術や対応力に価値を感じている」のでなく「都合よく安く作る工場が手に入る」ことだけに魅力を感じているだけです。
受注するには既存サプライヤーが出している価格を下回ればいいのですが、その場合はただでさえ安い仕事を更に安い価格とするので、町工場には十分な利益が見込めるはずもなく、薄利の仕事になります。
かつ、メーカーが新規サプライヤーに出してくるのは誰もが欲しい工数が少ない仕事でなく、誰もやりたがらない手間のかかる仕事であり、工数はかかるのに利益が少ない構図です。
一見、仕事を獲得できて羨ましいと思うかもしれませんが、安く仕事を受けると以下のような結末に陥ります。
仕事を値段を落として受注できたけど、どれだけ残業して、製品を収めても全く利益が残らない、給料を上げたくても利益がないからできない、残業ばかり続いて、従業員からの不満が募り、従業員が辞めていく、けど仕事は減らないの地獄が始まるのです。
人も機械も増やせない
値段を下げて、受注する安請け合いをしていると、町工場に利益が残らないのでいつまで経っても人が増やせない、機械も増やすことができないドツボにハマってしまいます。
町工場は結局のところ、人がいないと始まりませんし、新しい機械を入れて効率化や新しい加工領域へ進出しなければ、会社は大きくなりませんし、仕事を拡大することもできず、いつまでも現状維持のままです。
現状維持をしていると顧客であるメーカーが変化して増産や設計変更の依頼が来ても、「人がいないから対応できない」「今の機械の生産性では追いつけない」とチャンスを逃すことになります。
現状維持は町工場にとって最も危険な状態で、世の中が常に変化しているのに、町工場だけ同じ仕事をして時間を過ごすといつの間にか、顧客から「内製化するから」「もっと安く作れるところに転注する」と時代に取り残されることになります。
現状維持から抜け出すには新しい挑戦する必要がありますが、薄利の安請け合いでは利益が残らないので「人不足で社長が現場に入り続けないと回らない」「効率的に生産したいけど機械が買えない」事態になり、町工場が変化できなくなるのです。
人材不足の影響で人を雇うコストはどんどん高額になっており、ただでさえ人が取りにくい町工場で安い給料を提示しても人は取れませんし、加工機械も材料費や電力の高騰で軒並み高額です。
現状維持から抜け出す、人と加工機械という重要要素を獲得するには利益がなければなりませんが、安請け合いをしていると一生、変化するための人を増やせず、加工機械も増やせないのです。
利益がなければ、会社は成長しない
利益は町工場の変革の原動力であり、薄利の商売を続けていても会社が好転することはなく、現状から良い方向へ変わることは決してありません。
「社長が1日中、工場にいないと仕事が終わらない」「いつまで経っても残業が減らず、給料も増やしてあげられない」「どれだけ仕事をこなしても状況が変わらない」という町工場が世の中には多いはずです。
これは十分な利益を確保できておらず、現状を変革するために次なる投資にお金を回せていないのが原因です。
- 従業員に給料とボーナスをお渡しする
- 既存の加工設備のメンテナンス保守で費用を支払う
- 会社にお金がほとんど残っていない
決算のタイミングで上記のような経験をしている町工場様が多く、従業員への支払いと設備メンテナンスをするだけで精一杯で会社に次なる改革や設備投資に回すお金が残っておらず、翌年も同じことの繰り返しで変化が訪れない状況です。
町工場は安請け合いをして仕事を獲得し、売上の数字だけ上がっても利益が全く残らない状況は絶対に避けなければならないのです。
十分な利益を確保できる仕事を取るのは安請け合いで仕事を取る何倍も大変で苦労のかかる仕事ですが、この十分な利益のある仕事を手にしない限り、町工場はいつまでも変わることができない、今よりも環境をよくすることができません。
相見積が嫌なら異業種を新規開拓せよ
相見積になって競合との価格競争に陥りたくないなら、今すぐに異業種を新規開拓してください。
既存取引先の業界で相見積なしの仕事が出てくることはあり得ません。
絶対に他の既存サプライヤーとの間で価格が削られてやっても何の利益にもならない仕事しか残っていません。
ここでは相見積が嫌で十分な利益のある仕事を手に入れたいなら異業種を新規開拓すべき理由を解説します。
異業種の新規開拓では相見積は発生しない
既存取引先でなく、関わりのない異業種の新規開拓では絶対に相見積は発生しません。
その理由として、新規開拓をしているライバルがいない点が理由の1つで、ライバルが少ないでなく、「いない」のです。
皆さんの周りで異業種に積極的に新規開拓してる町工場の方に出会ったことはありますか?おそらくゼロのはずで、新規開拓すらしていない町工場が大半であり、異業種に対して提案をしている町工場は皆無です。
そのためメーカーは相見積をするような他の町工場が手元にいないので、あなたの会社の見積を比較することもできず、「他はこれだけ安いよ」という価格競争を起こすこともできないのです。
そのメーカーと既存で付き合っているサプライヤーがまだいるじゃないか!という方も安心してください。
異業種の町工場が提案をしてきた際にメーカーが出してくる図面は既存サプライヤーではコストダウンが実現できない図面なので、既存サプライヤーもそもそも手を挙げてこないのです。
既存サプライヤーがコストダウンを実現できないのに、異業種の町工場がどうこうできるものでないと考える町工場の方も安心してください。
次の章でも詳しく説明しますが、あなたが既存業界で普段出している曲げ単価や加工チャージは異業種ではとんでもなく安いという可能性を秘めているのです。
既存業界の当たり前は異業種では付加価値
町工場が知るべきはあなたが普段取引先に出している加工単価は異業種では当たり前でなく、むしろ大きな価格メリットを生むチャンスを秘めている事実に早く気づいてください。
日本の多くの町工場は創業から1つの業界だけと仕事をしており、他の業界の仕事や価格、どんな要望があるのかを全く知らない井の中の蛙状態なのです。
昔から1つの取引先、1つの業界しか知らないから自分たちが普段提供している加工技術を他の業界の人に評価してもらったことがないのです。
例えば、いつも何気なく小ロット短納期に当たり前に対応して出している単価は他の業界の人が見たら、「なんでこんなに安いんですか?」と驚かれることは珍しくありません。
弊社の支援する町工場様の中には従来は産業機械向けに精密板金加工を提供していましたが、全くの異業種の半導体業界に提案したところ、加工内容は既存業界に比べたらシンプルなのに驚くほど高利益な取引を実現しております。
このように町工場が普段から当たり前に提供している加工技術は提供する相手を変えるだけで、驚くほどの高利益に繋がるのです。
その背景として、業界ごとに購買部が求める品質や要求は全く異なり、Aの業界の当たり前はBの業界では付加価値の高い加工技術であり、購買部が感じる価格メリットも全く異なるのです。
既存業界で十分な利益を獲得できないとわかっているなら、今すぐに井戸の中から出て異業種の新しい世界に町工場は飛ぶ混むべきです。
以下の記事では高利益を獲得したい町工場が異業界を狙うべき理由と実際の成功事例を解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
金属加工業の町工場が新規開拓しやすい業界
異業種を新規開拓したいと思っても新規開拓をどうすべきか分からない町工場様が多いはずですが、どの業界が新規開拓しやすいのか、業界ごとの特徴と何を提案すべきか細かく答えがあれば、行動しやすいはずなので全て大公開します
ここでは新規開拓がしやすい3つの業界とその理由、どんな提案をすべきかを解説します。
電材業界
加工内容や要求品質が最もゆるく、高額な加工設備がなくても納期対応ができれば、板金加工を行う町工場が最も新規開拓しやすいのが電材業界です。
電材業界が扱う製品は電気工事などで使われる金物や建物や電気室の耐震を目的としたアングル架台、長穴加工と切断だけのシンプルな形鋼などです。
電材業界に納品する製品は工事現場で活用される製品が大半であり、加工交差などを求められることはまずあり得ません、
「切断できてればいいよ」「工事で使うから長穴でOK」「塗装も塗れてればOK」など町工場での加工の際に最も求められる基準が少ない業界です。
その理由として、基本的に現場で工事される部材であり、何か他の部材と組み合わせて製品にするなどメーカーでアッセンブリーするような精密な製品でなく、あくまでも工事の目的を果たせればいいのが電材業界の製品です。
また、電材業界の顧客は工事会社であり、エンドユーザーの工事会社が1番重要視するのは「納期」でその理由は工期を遅らせることができないからです。
そのため、電材業界は今日の明日など特急かつ小ロットの製品が大半で、エンドユーザーの求める小ロットで短納期を達成できるなら価格はいくらでも買うというのが電材業界なのです。
本当にびっくりするくらいの高い価格でも明日届くならOKというのが電材業界です。
ただレーザーで抜いて、1回曲げたような固定金物、定尺から希望寸法に切断して穴あけをしたアングルが信じられないくらい高い金額で売れるのです。
設計事務所
設計担当が持つアイディアのポンチ絵から図面を起こして、技術提案ができるなら町工場との繋がりがなく、技術的な付加価値を高く評価してくれる設計事務所への新規開拓がお勧めです。
本当に誰も知らないのですが、金属加工業の町工場が高利益かつ絶対に相見積にならない業界は設計事務所です。
その理由はどの設計事務所の設計担当もカタログにはなく、オリジナルで作りたいものがあるのに、加工してくれる町工場と付き合いがなく、技術相談できる加工会社を持っていないからです。
設計事務所なんて町工場は無縁と考えている人が多いはずですが、設計事務所は町工場と非常に相性がいいのです。
その理由は以下の通りです。
- 製品の仕様は全て町工場のやりやすいように決められる
- オリジナル部材なので、加工単価は言い値でOK
- 納期も十分あるので、普段の仕事の合間に取り組める
通常は製品仕様はメーカーが決めてきますが、設計事務所の場合は設計担当の欲しい形を実現できるなら加工をする町工場の思うように仕様を決めることができるので、加工の段取りを抑えた制作も可能です。
また、設計担当が考えるオリジナル部材は世界に1つで、値段が世の中にないものであり、設計担当やエンドユーザーの施主も自分が欲しいものを実現できるなら単価に糸目はつけません。
そして、設計事務所が希望する製品は得てして納期に大きなゆとりがあります。
その理由は設計事務所は家などの建築物を建てるので、基礎工事、外装工事、外構工事など1つずつクリアしてようやく部材取り付けになるので納期に大きなゆとりがあります。
そのため、既存の仕事が忙しくて、短納期に対応できない、やったことのない仕事の場合は余裕が欲しいという異業種に慣れていない町工場にとって最高に仕事がしやすい環境なのです。
まとめ:相見積が嫌なら異業種を新規開拓せよ
この記事では価格競争を避けたい町工場は今すぐに異業種を新規開拓すべき理由を解説すると共に価格競争をしている町工場に訪れる最悪の未来に関して詳しく解説してきました。
相見積で毎回、価格競争になり、十分な利益を確保できない仕事を受注してしまうと町工場に待っているのは納品しても全く利益が残らない日々を過ごして、時間だけ浪費してしまう未来です。
町工場が大きく、そして人を増やし、加工機械を増やすためには利益が欠かせません。
この利益を十分に確保するには価格競争がない、相見積がない異業種を新規開拓すべきなのです。
町工場が既存業界で提供している価格や技術は他の業界では大変価値が高いものになる可能性をたくさん秘めているのです。
既存業界に固執しても利益は確保できません!重要なのはいかに新しい異業種に知ってもらい価値を届けるかであり、そのためには異業種への新規開拓が欠かせません。
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